●告白

 邦画はほとんど見ない。

 なのに、『ノルウェイの森』『告白』と、立て続けに二つ見た。前者は村上春樹だから、後者は話題になっている時になぜかピンと来て。しかし、後者の中味はまったく知らなかった。

 先に書いたように、ノルウェイは私には「失敗したダイジェスト版」にしか見えなかったが、告白は傑作といっていいのではないかと思った。

 ノルウェイのエントリで、「これまで原作を先に読んでいる映画はすべて失敗作に思えた」と書いた。「一冊の本を2時間そこそこにまとめることは、どだい無理なのかもしれない」とも。

 では、告白の原作を先に読んでいたら、この映画は失敗作に見えるのか。

 いや、私の頼りない鑑賞眼と想像力からは、この映画が失敗作である可能性は見いだせない。

 もしかすると、後から原作を読んで「映画のほうがよかった」などとうそぶく可能性さえある。

 なあんだ、それなら、先に見た方に影響される「刷り込み」みたいな話じゃないか・・・

 実際のところどうなのか、原作を読んでみたいなあと思った。
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 映画は素晴らしいのだが、こんな作品に出演した年若い出演者たちの「こころのケア」は大丈夫なのだろうかと人ごとながら心配になった。

 暴力映画やセックス映画を思春期の子どもに見せるのに特にためらいはないけれど(現に、息子に対してそういうのを制限したことはないししたいとも思わない)、こういう映画を見せるのにはちょっとためらいを覚える。

 まして、そこへ「入り込む」演技などを要求することは、子どもに対する「虐待」になり得ないだろうか。
 珍しく、ちょっと真面目に心配になってしまった。

(告白, 2010 JAPAN)