●お疲れさまでした

 食事券は1000円だったが、1000円で食べられる食事は空港内にほとんどなかった。

 まあ、それはどうでもいい。

 予感は的中し、夜の11時を過ぎてから関西空港におろされた。自宅までの道のりには困難が予想されるので、機内では時刻表を借りて入念に対策を練った。
 何とか終電には間に合いそうだが、最寄り駅からはタクシーにならざるを得ない。

 飛行中、関空に到着後どうすればいいのか、どうしてくれるのかの案内がない。
 フライトアテンダントをつかまえて個人的に聞いているおじさんたちがいたが、そんなものを何十人もいる乗客にひとりひとり説明できるわけがないのだから、機内アナウンスすればいいのにと思う。「関空到着後に案内する」(実際にそうなった)でも、「現在、関空日航支社で対応を検討中」でも何でもいいのだ。それすら着陸するまで言わない。

 結局、大阪梅田経由伊丹行きと京都行きの無料チャーターバスが出ることになり、その先はタクシーを使ってもらえば1万円を限度に後日振り込むということを、着陸後、スポットに着いてから知らされた。
 こういうときの対応はマニュアルで決まっているはずなのだが、途中で「たぶんこうなります」とか「過去はこういう対応でした」というのは言ってはいけないこともまた、マニュアルで決まっているのだろう。

 でも、過去にどういう対応だったか知っている人は乗客内にも多いと思われる。私も今回知った。
 それに、いずれにせよ、「関空到着後案内する」とか「現在、関空日航支社で対応を検討中」とかは言っておいた方がいいと思う。
 そうすれば、気の毒な係員に当たり散らすおじさんたちの数も減るはずだ。

 どういうマニュアルになってるんだろう? 今のままでは現場の人がかわいそうである。

 飛行機を降り際、本当にすまなそうに頭を下げる(演技であれば大したものだ)アテンダントの女性に、「お疲れさまでした」と挨拶すると、一瞬、顔が歪んで泣きそうになったように見えた。
 労働時間も延び、いらつく乗客の応対をし、頭を下げ続けた彼女たちのほうが、むしろわれわれより大変だったろうと思う。

 ほんとうにお疲れさまでした。