◆裸の王様? ——トヨタの危機管理

 出ないと言っていたアメリカ下院の公聴会から招致され、一転、トヨタ自動車豊田章男社長が出席することになった(朝日新聞)。

 出席しないと言えば批判や反発を招いてこういうことになるとわかっていたのに、どうしてこう、対応がちぐはぐなのだろう。

 プリウスのリコール問題にしても、ずるずると主体性なく対応を変えていくという一番悪いパターンになっていたが、今回も同じだ。

 誰が見ても今後こうなるだろうと思うような情勢を読み違え、対応を誤るのはなぜなのか。

 トヨタの経営陣が無能揃いだとは思えない。

 言うまでもなくまったくの憶測だが、「お家大事」「殿を無傷で」という内輪の論理を優先するあまり、ともかくその場を凌ごうと悪戦苦闘して、結局は屋台骨を揺るがし、殿を傷だらけにしていっているように見える。

 その意味では、豊田氏に責任はなくても、創業家の御曹司だということが負の作用をもたらしているのかもしれない。
 あるいは、何も豊田氏に限らず、上の者に(同僚にも?)意見が言えないといった風土があるのだろうか。

 ここはひとつ、顔色をうかがう周囲の意向は忖度せず、トップとして情勢判断し、果敢な決断を遂行していってほしい。