◆写真もコンピュータ

 思えば、初めて手にした一眼レフ(CANON A-1)だって、既に電子部品の塊だったような気はする。
 だが、レンズを通して入ってきた光がフィルムに塗った薬品を感光させて像をあぶり出す・・・というような、写真本来の姿はかろうじて保っていた。

 デジカメになってからは、文字通り「写真専用コンピュータ」になった。

 だがそれでも、昨日まで使っていた、わずか5年前のデジカメは、まだふつうのカメラらしさを残していたと思う。
(コンパクトデジカメを5年近く買い替えていなかったのだ。われながら、なんて我慢強いんだろうと自分を褒めたくなる。)

 今回は違う。

・逆光の被写体を撮ると、勝手に2枚撮影して内部で合成し、自然な写真に仕上げる。
・夜景を撮ると、瞬時に6枚を合成し、ノイズのほとんどない写真を作る。
・パノラマを撮るときは、最大100枚!の写真をつなぎ合わせる。
・もちろん、手振れ補正・顔認識・笑顔で自動レリーズ・・・
・そして何と、ハイビジョン動画も撮影できる。
・さらに、撮った写真にシャープネスをかけたり文字や絵柄を入力したりできる。

 シャッターを押した瞬間から(あ、押す前からか)、コンピュータフル稼働だ。
 いや、これまでもそうだったのだろうが、明らかに質が違う感じがする。最後の機能なんかは別に必要ないのだが。

 同時に手に入れた Intelligent PanTilter を使うと、その場にいる人の写真を自動で次々と撮影していく。
 後ろから見ていると、構図を次々と変え、ズームインしたりアウトしたりしながら、まるでロボットのように撮影しているのには驚いた。
 こんなふうに使うという発想すらなかったので、できればいいなあとすら思わなかった機能だ。

 こういうカメラを触っていると、同じくコンピュータの塊であるデジタル一眼なんかが、何だか気の利かない朴訥で無骨なメカに見えてくる。

 こういう方向って、今後どうなっていくんだろう?

 まあ、どうなったところで、怪我をしたり命を失ったりすることはないだろうから、写真はコンピュータでもいいんだけれど。