★チャンピオン

 日曜日だかに、ボクシングのWBC世界フライ級タイトルマッチがあった。

 チャンピオンの内藤大助と挑戦者の亀田興毅による「因縁の対決」である。

 もはや中年の域に達する年齢の内藤は、一回りも年下の挑戦者を相手にして、「持久戦に持ち込めばスタミナで勝つ」と言われていた。それほどに練習を積んできたのを周囲が知っていたからだろう。

 少しは成長したかと言われている亀田は、しかし相変わらず、「3ラウンドでノックアウト宣言」をするなど、無礼な態度を取っていた。
 でも実際、「早いラウンドで勝負がつけば亀田、フルラウンドに持ち込めば内藤」というのが大方の下馬評だったようである。

 ところが結果はご承知の通り、フルラウンド戦って内藤が負けた。

 ダウンこそしなかったものの、顔面の腫れ上がった内藤は、アリスの歌う「チャンピオン」を髣髴とさせた。

 もちろん勝った方がよかったのだろうが、負けたからといって5回にも及ぶ世界タイトル防衛は霞みはしない。
 それに、敗者のあの顔を見た者は誰でも「♪もうそれで十分だ」というだろう。

 心からいたわりとねぎらいの言葉を贈りたい。
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 息子も顔を腫らしている。場所は違うものの、腫れて膨れあがっているのは似ていなくもない。

 腫れはしかし、チャンピオンの1/5ぐらいだろうか。
 内藤の顔を見ると、階段の角にぶつけて歯が折れるほどの衝撃すら、ものの数ではないのだとわかる。

 一日も早く、快癒することを祈っている。