◆「つかしん」の末路
「つかしん」といえば、華やかなバブルの到来を告げる、鳴り物入りで開店した「おしゃれ」なショッピングセンターである。
ある世代以上の関西人なら知らぬ人はいないだろう。名付け親が糸井重里、核テナントは西武百貨店であった。
先週、所用で尼崎へ行った帰り道、通りがかりに妙に場違いなビルを見かけ、「いったい何なのだろう?」と思ったのが、まさにその「つかしん」であった。
こんなところにあったのか。
もしかしたら、大昔の西武時代に1度だけ行った可能性はあるが、まったく記憶がない。
家に帰ってから調べてみると、西武は撤退したものの「つかしん」全体はまだちゃんと営業していて、しかも駐車場がべらぼうに安い。2時間無料で、何も買い物をしなくてもその後1時間100円である。
それはありがたいのだが、逆にいえば、集客に苦労している様子がありありとうかがえる。
それまでそんなことは思いつきもしなかったのだが、遠い方の職場から車で15分程度だ。ちょっとがんばれば、昼休み中に往復して昼食を済ませることすら不可能ではない。
というわけで、先日ちょっと行ってみた。一通り歩き回っても、まったく思い出せない。もしかするとやはり初めてかもしれない。
もちろん、平日の昼間だということはあろうが、食品スーパー以外は閑散としている。最近にもリニューアルとかしたのだろう、特に「ひがしまち」のほうはまあ小綺麗で「やさぐれ感」はない。だが、「にしまち」のほうは場所によってはやや荒んだ様子も漂っている。
小綺麗だとは言っても、魅力的な商品も店も見つからない。だいたいが、どこの駅前や郊外にもあるような、マイカルだとかイオンモールだとかアルプラザだとかイズミヤだとかと選ぶところがないのだ。
ダイソーがワンフロアを占めていたりもして、もはや華やぎや夢などとはまったく無縁の場所になってしまっていた。
昨日、華々しく?「グランドオープン」した尼崎駅前の COCOE も同じである。オープン時点で既に魅力のないショッピングセンターなんか作って、いったいどうするつもりなんだろう?
まあ、そういうふうに見るのは気の毒だとも思う。たぶん、時代が悪いのだ。
だが、次に華やぎや夢を感じられる場所ができるのは、いつ、どこになるんだろうか。