★雨続き

 朝から一面の霧。

 こちらへ来てから、天気がよかったのは最初の2〜3日だけだ。

 ホテルを出るときの気温が15℃台。かなりはっきり、「寒い」に近い。

 上着を着て斑尾高原の希望湖(のぞみこ)を1周するトレイルを散策。半ばあたりから雨が降り出し、ほどなく本格的な降りになる。
 仕方なく傘をさして歩行を続け、それでも鳥の声がすると双眼鏡を向ける。

 「まるで筋金入りのバードウォッチャーみたい」と笑い合う。

 昼食は、例の老婦人がウェイトレスをしている店。

 今度も、苦労して注文を終えてすぐ、注文していないコーヒーを持ってきてくださった。

 さて、それはそれとして、今日は店自体もすごかった。

 家人と息子が注文した焼きそばができないというので、豚の生姜焼き定食とカレーに替えてもらった。今日は最初から伝票をもらいにいって自分で書いていたので、それを書き直す。

 が、しばらくすると、もうご飯がないのでそれもできないという。

 メニューを眺めてみるが、ご飯がないということは、あらゆる定食もカレーもできないということだ。残るのは、スパゲティ(3種)、ラーメン、冷麺のみ。
 冷麺は先日家人が食べ、スパゲティ(ペペロンチーノ)も私が食べた。

 息子は仕方なくラーメン、家人も仕方なくもう一度冷麺かな・・・と言いながら伝票を書き直しにいって、「やっぱりミートソースにした」と戻ってきた。
 最初からトンカツ定食だった私は、一人分だけはあるというご飯をいただく。

 けっこう混んでいて、次の客だけは満席で断られていたのだが、それを最後に不思議と客は途絶えた。

 「ご飯がなくてこれ以上客が来たらどうするんだろう」と人ごとながら心配していたのだが、結局は来なくて杞憂に終わった。
 だが、食べ終えて店を出ても、店の窓にも入り口にも、しっかり OPEN の文字。表のメニューも店内の黒板(ランチのおすすめ)もそのままである。
 何か食べたいという客が来たら、スパゲティとラーメンと冷麺しかありませんというつもりなのだろうか・・・

 まあ、今日はお盆休みの最終日。予想以上の客の入りに予定が狂ったのかもしれない。
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 午後は、息子のたっての希望で、志賀高原の麓にある地獄谷温泉の野猿公苑へ。

 斑尾高原を降りると、霧は晴れ、雨はやんでいる。われわれが雲の中にいたようだ。

 湯田中を抜け、すれ違いに苦労する1車線路を2〜3キロ走った行き止まりにあった。

 ここは確か、雪景色の中、温泉に入る猿で有名なところである。猿は大阪府箕面市でさんざん見ているのでどうということはないと思っていたのだが、見ているとそれなりに楽しかった。

 また、常に噴水のように吹き上げている硫黄泉も珍しい。

 元は専門店だったと思われる、湯田中の手打ち蕎麦屋(今は食堂化して中華料理まである)で夕食。私は天蕎麦をいただいたが、蕎麦は確かに手打ちだと思えた。
 若い人は息子さんだろうか。だとすれば、失礼ながら、もう少しきりっとした店に生まれ変われるよう努力して欲しいと思った。

 夕刻、空気が澄んですっきりと晴れ渡り、山の緑が美しい。明日はちょっと遠出して、白馬か妙高に向かうことにしよう。

 マクドナルドで朝食を仕入れてホテルへ帰る。ちょうど昇り始めた満月が綺麗だ。

 帰ったときもやはり気温は15℃台だった。
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 先ほど調べたら、天気のいいのは明日だけらしい。

 思い切って白馬に行こう。

 残りの日々はまた、雨模様のバードウォッチングになりそうだ。