◆テレビ取材の申し入れ

 珍しくこのブログ経由でメールをいただいた。

 先方は何と、ほぼ完全全国ネットの巨大放送局だ。確か過去に一度、視聴者からの意見へのあまりにもおざなりな対応をここで批判したことがある。

 それはともかく、内容は「明日テレビカメラでの取材をお願いしたい」というものである。

 メールの題名が「突然すみません」だけだったので、他のスパムメールとともに一括削除してしまうところだった。なぜかピンときて、念のために中身を見てみた。
 題名を「テレビ取材のお願い」とかにしていただいたほうがよかったかなと思う。「突然失礼致します」とかそういうのは、典型的なスパムの題名なので避けた方がよい。皆様もお気をつけください。

 でも、「テレビ取材のお願い」なんて書いていたら、そのありえなさからいって、新手のスパム扱いし、やっぱり削除してしまうだろうか。いや、私なら、卑しい心根から、やはり一度は中身を見るだろう。スパム業者の皆様、参考になさってください(笑)。

 取材依頼の理由はもちろん、大したことではない。要するに、東芝HD DVD からの撤退を発表するので、そのニュースに合わせて、最近該当機器を購入した人の話を聞きたいという趣旨だ。

 話したいことは山ほどあるが、30分しゃべってもオンエアは10秒ぐらいだったかもしれない。だがそれ以前に、せっかくメールをいただいたのに取材を受けることはできなかった。残念である。

 タイムスタンプによると、メールをいただいたのが夜の11時半過ぎ。そして次の日の昼過ぎまでに連絡をくれと書いてある。夕方か夜のニュースで流すのだろう。
 だが、そのメールを読んだの自体がさらにその2日後なのである。スピードと新鮮さが肝腎の報道の世界にいる依頼者は、正直なところ、私からの返信をご覧になっても「えっ!? そんな依頼したっけ?」という感じではなかろうかと推察する(ちょっと大袈裟)。

 読者からメールを頂戴することなどほとんどなくても、このブログ経由のメールもほぼ毎日チェックしている。なのに、こういう時に限って読んでいないのだ。皮肉なものである。

 私の書いた返信は以下の通り。

 先ほどメール拝見しました。もう手遅れですね。お返事が遅くなって申し訳ありません。

 もうご興味はお持ちではないかもしれませんが、私個人は結果としていいタイミングで安く購入できたことを喜んでおります。
 ただ、HD DVD には最初から期待しておりませんでしたので、期待していた方々や情報をお持ちではなかった方々の落胆は大きかろうと思います。

 今後、また何かありましたら、お声をおかけいただければ幸いです。

 先方からの返信にはもとより期待していなかったが、意外にもきちんとお返事を頂戴した。お忙しいところ時間を割いていただいただけでなく、「無事、放送は出すことができました」という一文があって恐縮する。
 私なんかへの取材の有無に関係なく、巨大放送局は当然、いつものように放送をする。私と連絡が取れなかったことなど、放送に影響する可能性は露ほどもない。
 それでも礼儀としてこういう書き方をなさっているのだろう。

 この放送局の市井の人間への対応をちょっと見直した。

 もちろん、結局は人なのである。いかな組織やそのシステムに飲み込まれているにしても、それを構成しているのは個々の人間だ。
 自分の勤務先やその上部団体への不満やストレスも募る昨今、自戒したいと思う。

 それにしても、期限に間に合うようにお返事差し上げたら、ほんとに取材・放送ができたのだろうか。
 メールは東京から、私は大阪在住なのだ。昼過ぎまでに返事してそれから取材を受け、夕方ないし夜のニュースで流す・・・
 私にはちょっと想像のできないスピード感である。まあ、もしほんとに取材なさるなら、大阪の局のスタッフがいらしたのだろうか。それとも、

 「あ、大阪にお住まいだったんですか。てっきり東京かと・・・ すみません」

で終わっていたのだろうか。

 友人が東京に引っ越して、その凄さが間接的にであれ感じられるようにもなって、「地方」の悲哀が少し身近になってきている。