◆何を今さら・・・

 今朝入っていた au by KDDI のチラシに

「家族への国内通話 24時間無料」

の文字。

 何を今さら。もう1週間早ければ、au にしていただろうに。

 適用は3月1日から。「3月2日を過ぎると特典がなくなるぞ」と脅しをかけていたので、ツーカーから乗り換える人の契約変更は2日間に集中する。しかも土日だ。

 料金体系が複雑すぎて、携帯の契約にはけっこうな時間がかかる。販売店が大混乱にならなければいいんだけど。
 もっとも、まだツーカーを使っている人なんてほとんどいないのかな?

 でも、このタイミングでということはやはり、ツーカーからの乗り換えが思うように進まず、ソフトバンクに客を取られるのに業を煮やし、最後の切り札に打って出たという可能性も高い。
 これ以前にも、明らかにホワイトプランに対抗することを意識した、「シンプルプランS」(基本料1050円)というのを始めている。

 ソフトバンクホワイトプランだって、「携帯の料金体系をシンプルに」といううたい文句で登場したと思うのだが、先に書いたとおり、機種代金も月々の料金体系も割引や制約も実に複雑怪奇で、なんとか騙して(あるいは少なくとも誤解させて)うまく料金をふんだくろうという企みがミエミエであり、決して愉快なものではない。

 それでも、画期的な料金体系と驚きの「無料」を率先して打ち出す戦略は、たとえそれが新規契約を獲得してシェアを増やすためのあざとい策略であるにしても、ある種のパイオニア的な清々しさがある。

 この1年以上、au が矢継ぎ早に打ち出すさまざまな変わり身の早さを継続して目撃してきたが(しつこくダイレクトメールやスカイメール、さらには訪問販売員!が来るのだ)、そのどれもが後追い、人真似、小手先の変更で好感が持てない。
 そのくせ、たとえばシンプルプランSだってホワイトプランより高く、家族間通話は無料でも au 間通話は無料ではない。

 後追いで人真似の癖に、ソフトバンクの後塵を拝しているのだ。

 一時期、松下電器が「マネシタ」と蔑まれていたことがあったのを記憶しているが、松下は少なくとも、後から出す以上はよりよいものを作ろうと努力していたと思う。

 私はネオリベラリズムの信奉者ではないので、携帯業界で繰り広げられている消耗戦にも見える競争を手放しで歓迎するものではない。

 だが、「高くても満足感を感じさせる」(BMWiPod を見よ)ものでなければ、結局は経済原理が働いて、より安い(安く見える)方へ人は動いてしまう。

 だから、安値競争への対抗策は、満足感を満たすような製品・サービスをいかに提供するかにかかってくるだろう。ここ数年の自分の買い物を振り返っても、どちらかといえば、決して安くない製品ばかりを選んでいる気がする(あんまり買い物しないけど)。

 私が安いものを買う時は、相応のお金を出してもいいと思えるような魅力的な製品やサービスがそのジャンル内に見あたらない時である(あんまり高いものは魅力があっても買えないにしても)。
 それはもちろん、私に見る目がないからでもあろうが、そういう愚かな消費者に魅力を感じさせ、たとえ幻想であっても満足感を与えて、高いお金を出させるのが企業の腕の見せ所であるはずだ。

 単なる低価格競争に未来はない。

 ケチの私が言うのだから確かである。