◆「ただ友のワ」を広げたい(その3)

 最後は短く。

 買ってきた携帯が物珍しくていじっていたら、思いがけず電話がかかってきた。

 滅多に出ない(というより着信に気づかない)のだが、ちょうど手に持っていたので反射的に出てしまった。

 聞き覚えのない(たぶん)若い女性の声。でも、耳元から女性の声が聞こえてくるのは悪くない。電話って、こんな感じのものだったっけ?

 だが、もちろんというか、またしても au への勧誘の電話だった。

 「あの、これ今、ソフトバンクで受けてるんですけど・・・」

 ツーカー解約の情報がまだ届かず、入れ違いになったらしい。先方も慣れているのか、それですぐに通じた。

 今まで何十回となくかかってきていた au への勧誘電話には一度も出たことがない。私の携帯に着信する通話のほとんどと、メールのすべては同じ勧誘だった。

 それが、初めて出て会話したときにはすでにソフトバンクの携帯になっており、しかもそれがソフトバンクで私が受けた最初の通話になるとは・・・

 皮肉なものである。もし才能さえあれば、短編小説がひとつぐらい書けるかもしれない。