●トイラジ

 ずっと以前、ラジコンのことを書いたことがある。子どものころは決して手に入らなかったラジコンがすっかり身近になった。

 とはいっても、レーシングカーだの戦車だの、地面の上を走るものばかりだった。

 飛行機やヘリコプターなど空を飛ぶものは、墜落→破損という危険がある(危険があるどころかほぼ必定である)ので、初心者はとても何万円も出せない(それでも夢のように安くなったけど)。

 しかし、キーエンスが室内で飛ばせるヘリコプターを出したころから事情が徐々に変わってきた。とはいっても、たしか7〜8万円はした記憶がある。あれは何年前だろう? さんざん悩んで買わなかった。

 このごろは、1万円を切る価格で飛びもののラジコンを売っている。もちろん、本格的なものではないので、オモチャ( toy)のラジコン(=トイラジ)として一つのジャンルを作っているらしい。

 というわけで、初めて買ってみた。3千円。家族3人の昼飯1食分である。ためらう理由はないのだが、石橋を叩いても渡らない性格なので、今まで手を出さなかった。
 たまたま、ネットで「もうだまされない。ちゃんと飛ぶトイラジ」みたいなリストを見つけたので、思い切ってペガサスウィングというのを買ってみたのだ。

 まだ一度しか飛ばしていないが、とりあえずは飛ぶ。けっこう広い広場でやっているのだが、操縦性がよいとは言えず、また、すぐ風に流されるので、3度ほど木に引っかかってしまった。

 本気で飛ばせばけっこう高くも飛ぶ。だが、

マンションの屋根の上に乗ってしまい、これで3千円が水の泡・・・

かと思った。

 プロペラを必死に回すがあまり効果はない。それよりも、軽いので風に煽られて落ちてくるのが期待できる。一時は諦めたが、なんとか屋根の端まできて、樋に引っかかっている。

 よし! と最上階(といっても3階)の廊下まで登り、コントローラーのアンテナでつついて落とすことに成功した。しかも、手すりのところでナイスキャッチ、破損なし。

 高く上がりすぎたときに、グライディングさせてこちらへ戻そうと思っても、舵がまったく利かない。それもそのはず、ふつうの飛行機とはまったく違う原理で旋回させているのだった・・・

 滑空しながらまったく舵の効かない飛行機なんて・・・

と脱力しながらも、これはこれの飛ばし方をマスターしなければならないのだろうと思う。

 まあ、数回でも楽しめたらそれほど高い買い物ではない。秋になったら万博公園で思う存分飛ばしてみたい。