★一澤/信三郎 帆布
皆さんは、例の「兄弟骨肉の遺産相続争い騒動」以前から、「一澤帆布」をご存じだったでしょうか。
私はまったく耳にしたことすらありませんでした。
ところが、騒動は騒動としても、作る端からどんどん売れていって、毎日夕方には売るものがなくなるほどのカバン屋さんっていったいどんなのだろうという好奇心がむくむくと湧いてきました。
幸い京都。いるかいないかわからない迷鳥を求めて足を運ぶよりはリーズナブルな気がします。
行ったのは、春休みとはいえ平日のお昼ごろ。まさか入れない客が店の前で行列をなしているとは思っていませんでした(信三郎帆布の方)。
一方の一澤帆布も大賑わい。
とりあえず、一澤帆布の方だけ覗いて、ずっと後で信三郎帆布にも入りました。
結局何も買いませんでしたが、平日の昼間の何でもない日(オープンセールでも店じまいセールでもありません)に行列のできているカバン屋なんて見たことも聞いたこともありませんでした。
あの騒動がなければこれほどのことはないのはおそらく自明で、あれがものすごい宣伝効果を生んだことは間違いないでしょう。
まさか、わざと、ということはないと思うのですが(私は職人魂に高い敬意を抱く者です)、「焼け太り」という感を拭えません。
しかし、そう感じることは、やはり、一途に道を極めようとしていらっしゃる方々に失礼ですね。ここはおそらく、そんな志の高い製品を買わせていただく資格は私にはないと考えて、買わないことが一番かという気がします。
もともと、あの騒動がなかったらその存在を知らなかったのですから。
※帰りの京都駅で「布包」(布偏に包で一字)と書いた信三郎帆布の紙袋を持っている方がたくさんいらっしゃったのには驚きました。梅田で阪急百貨店の袋を持っている人より密度が高いとすら感じました。