★国連かよ

 下のエントリを読み返していて急に思い出した。

 以前、ER(緊急救命室)を見ていたとき、患者の一人が「何だよここは。国連かよ」とぼやいていたのだ。
 舞台になっているシカゴの病院のスタッフにさまざまな出身・国籍の人があふれていたからである。

 それはもちろん、ネガティブな文脈なのだが、逆のことを経験したことがある。

 以前、アメリカに行ったとき、ニューヨークやロサンゼルスやエルパソなんかで、あまりにもいろんな種類の人がいて、自分の存在が全然目立たなくなって心地よかったのだ。

 ボストンでは、通勤電車の白人の中ですごく目立ってしまい、何だか居心地の悪い思いをした。
 それが、黒人やら白人やらヒスパニックやら先住民やらメスティーソやらアジア系やらが一見無秩序に蝟集している場所にいると、自分もその中に埋没してしまい、いわば居心地のいい匿名性が得られるのだ。

 ヘアスタイルやファッションも実にさまざま。どんな人がどんな格好をしていようがだれも気にしない。もしかすると、摩邪(まちゃまちゃ)がステージ衣装でその場にいても、だれも注目しないのではないかと思えるほどだ。

 匿名性は、みんなが同じような人種・民族で同じような格好をしていても得られる。
 だが、そこは心地よいだろうか。

 おそらくは、心地よい人もいるのだろう。しかし、私にはそれが居心地悪い。世の中に居心地のいい場所がもっともっと増えて欲しいと思う。