■パスポートと住基ネット

 パスポートが切れたので取らなければならない。それは仕方ないのだが、驚いたことが2つ。

1.手数料が1万6千円もする。
2.申請に住民票がいらない。

 何でも、以前にも増して偽造防止を必死にやっているしICチップのコストもかかるということらしいのだが、いくら何でも、という気がする。家族4人で取ったりすると、交通費やら含めて8万円にはなる(2回出向かないといけないのだ)。それだけで海外旅行なんか諦めてしまいそうだ。

 住民票がいらないのはありがたい。市役所を往復する無駄な手間暇や手数料が節約できる(相変わらず、戸籍を持ってこいというのには閉口させられる。仕方なく郵送で手に入れた)。

 だが、なぜ住民票がいらないのかというと、例の「住基ネット」を利用するからだそうである。ケッサクなのは「住基ネットの利用を拒否する場合は住民票が必要」だという変則的な取り扱いである。
 わたしももちろん、住基ネットが好きではない。しかし、住民票を持参するような手間をかけるぐらいなら、素直に住基ネットを使ってもらう。
 利用を拒否してわざわざ住民票を持参するような「変わり者」がいったいどのぐらいいるのだろうか。どうせ国家にはがんじがらめに管理されていて、戸籍だって住民票だって提出しなければパスポートがもらえないのだ。

 それでも拒否するという骨のある人をあぶり出す、これは踏絵なのか?

 だいたい、行政がやることに「拒否する」などという選択肢があるのだろうか。拒否してもいいようなものなら、初めからやらなければいい。
 そんなことが可能なら、戸籍の持参だって拒否したいし、2度も出向くことも拒否したいし、高すぎる手数料も拒否したい。これらにはもちろん、代替手段はないのだ(出向くのを1度にはできるが、かえって手間がかかりそうだ)。

 住基ネットの問題点をここで縷々述べようとは思わない。だが、そこにアクセスできる公務員全員を無条件に信頼できない以上、何でもかんでもデータベース化してオンラインで読み出せるようにするのは避けるべきだろう。
 社会保険庁の多数の役人たちが、芸能人や有名人の個人情報を盗み見ていたのも記憶に新しい。この種の例は挙げればきりがないほどだ。

 逆に、そういう濫用を避けるための方策が行き過ぎて、正当な理由があっても情報を引き出すのにものすごく手間暇がかかるのも問題だ。あの自民党政権が、一体なんのために「個人情報保護法」なんか作ったんだろう?

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 まあ仕方がない。ともかくパスポートを取らなければ。
 写真の規格もすごくうるさくなって、スピード写真では断られるかもしれないらしい。10年に1度のこととはいえ、何でこうも手間とお金がかかるシステムになっているんだろう。