■ジャーヘッド

 ジャーヘッドとは、アメリカの海兵隊員のこと。ほとんど丸坊主の、頭頂部と前髪だけほんの少し伸ばした平らな頭がジャー(広口びん)を連想させるから。同時にもちろん、中味が空っぽ、という寓意もある。

 大学に行き損ねて海兵隊に志願してしまった主人公が1990年の湾岸戦争に派遣されることになる。無意味で退屈かつキツい半年を砂漠で過ごした後、4日間の地獄の戦争を経験する。

 まったく新しいタイプの戦争映画で、しかも深い。戦争アクションとしてのクライマックスはことごとく肩すかしを食わされるが、それでいて退屈せず、ぐいぐい引き込まれていく。

 哲学系・懐疑系・陰惨系・反戦系・・・戦争映画の系譜に連なるのかもしれないが、それらの中では1番のできではないかと思う。

 主人公の名前と、原作となった本の著者の名前が同じだった。おそらくは実体験に基づいているのだろう。

(Jarhead, 2005 U.S.A.)