★医者通い

 健康体とはとても言えないが、ここ数年は健康診断や身体検査以外で医者に行くことはほとんどなかった。なのに、先日からずっと医者通いが続いている。

 ひとつは、1カ月近く通っている、息子の副鼻腔炎。これはまあ、もともと、医者に行こうか放っておこうか程度のものだったし、快方に向かっているのでまあいい。ただし、もちろん、手間とお金はかかる。

 もうひとつは、私の皮膚炎。前からあった湿疹がかゆかったので、ものは試しと虫刺され用に買ってきた「新ウナコーワクール」を塗ったのがいけなかった。
 市販のこんな薬で大事になるとは思っていなかったのに、塗ったところが腫れ上がり、歩くと痛いほどになってしまった。ネットで調べると、例は少ないが同様の副作用が出たという報告もある。なめてはいけない。

 使用は中止したものの、「ちょっといくらなんでも」というような状態だったので、開業医に行くと、ステロイドの軟膏(strongest のすぐ下、very strong)を処方された。1日目2日目ぐらいは「効いてるのかな?」程度だったが、その後患部は良くなり、腫れは引いて落ち着いてきた。

 ところが、そのころから、元の患部以外のところ、たとえば、左手首の内側とか左肘の内側、右手首と右肘の外側、右膝とふくらはぎなど、関係ないところに赤い発疹が出始めたのが気になってきた。その時点では「薬を塗る範囲を広げることになるが、そのうち治るだろう」と思っていたのだが・・・

 医者に行ってから5日目、15日の夜中から朝にかけて、背中がすごくかゆくて安眠できなかった。半ば夢うつつ状態で掻いたりもする。朝起きてみるととんでもないことになっていた。

 自分では見えないので家族に見てもらうと、背中を横断して太い帯状に2本、赤い発疹ができているという。合わせ鏡でも見てみた。下の帯は肋骨に沿うように脇腹に達している。

 どうみても異常である。それに、かゆくて困る。再度医者に行くことにした。

 だが、お盆の真っ最中。先日行ったところを含め、どこも休んでいる。総合病院なら、と探してみるが、一つにはもともと皮膚科がなく、もう一つはこの1月で閉めたという。やっと見つけた3軒目も、月水金の午前中しかやっていない。
 どこにも行き場がなくて、結局、近所の大学病院で診てもらうことにした。幸い、午前中は予約なしでも外来の診察をしているらしい。

 受付でいきなり先制パンチ。紹介状なしで来た患者からは、5250円を徴収しているという。むろん自費だ。まったく何もしなくても、医療費が最低、無意味に5250円かかるということである。
 その制度は知っていたし(特定療養費のうち、選定療養にあたるものの一つだ)、前にも経験したのだが、それにしても5250円! 確か以前は1500円とかそのぐらいだったと思う。

 「よろしいですか」と聞かれるが、「よろしくない」という選択肢はない。ここまで来てすごすご帰っても、他に行くべき病院もないのだ。
 窓口の係員に何の責任もないことはよくわかっていても、「貧乏人は病院に来るなということですかっ!」と気色ばむ患者がいても不思議はないような制度である。

 それ以外はまあよかった。待ち時間はそこそこだったし、医者(若い女性)の感じも悪くない。必要以外のところで(例えば会計)時間のかからないシステムにもなっている。
 厳密な原因はわからないが、要するにアレルギー反応を起こしているらしい。

 仕事が一段落して休みに入ったりすると、とたんに体調を崩すことが多い。たいていは熱を出して1日2日寝るとかだ。病気で仕事を休んだことは(たぶん)ないのに、休みになって寝込むとは難儀な性分である。普段なら大手を振って休めるのに。
 とはいえ、カラダが「もう病気になってもいいよ」と言っているようで、私のような者でも、心の奥底で「仕事はきちんとやらなければ」と思っているらしいことがわかるような気もする。

 今回は熱が出なかった代わりに皮膚炎か・・・

 それにしても・・・

 医療費については何度か書いた。子どもが熱を出して夜間診療に行くと5千円。今日みたいな日に皮膚科にかかると7千円。

 受診抑制には間違いなく効果があるだろう。しかし、より悪化させてさらに医療費を使うことにもなりはしないか。それより何より、患者が苦しむことになりはしないか。

 適切な医療を受けられるかどうかも結局は金次第。ホリエモンが正しくないと誰が言えるだろう。
 ERの世界(=アメリカの理不尽な保険医療制度)もそれほど遠くないように思えてくる。