★下戸に飲む楽しみはないのか

 昔はコーヒーなんてほとんど飲まなかった。「コーヒーになさいますか? 紅茶になさいますか?」と聞かれれば、ほとんどの場合、紅茶を選んでいた。

 だが、おいしい紅茶というのは滅多なことで飲めるものではない。柏原芳恵の歌に「紅茶のおいしい、喫茶店♪」で始まる歌があったが、そんなものがあるなら教えてほしいとよく思ったものである。

 だからだろうか、いつの間にかコーヒーを選ぶようになった。いつのころからかがはっきりしないのが残念だ。
 いつものパスタ屋に通い始めたころは紅茶を飲んでいて、途中からコーヒーに変わった記憶があるので、10年ぐらい前からかもしれない。

 おいしい飲み物というのが、ない。

 おいしそうにお酒を飲んでいる人を見ると、ほんとに羨ましく思う。たいていの店はお酒に力を入れているのに、ソフトドリンクとなると、コーヒー・紅茶・ウーロン茶・オレンジジュース・コーラ、だったりする(コーラ!)。

 レストランでの「お飲み物は?」という問いに「けっこうです」と答えていつも居心地の悪い思いをするが、ろくな飲み物を用意していない店のせいでもあるのだ(懐具合のせいでもあるけれど)。

 ・・・さて、コーヒーである。

 スターバックスで初めてキャラメルマキアートを飲んだときはちょっと感動した。自分はこういう飲み物を求めていたのだとすら思った。
 その後、カプチーノがおいしいことも知った。だが、どちらも本来食後に注文するようなものではなく、ちょっと恥ずかしい気もする。それに、食前・食中に飲むものがないのは相変わらずだ。

 おいしいコーヒーを家でも楽しみたくて、初めてスターバックスで豆を買ってみた。順序は逆になったが、帰ってから調べてみると
「自宅でおいしいイタリアンカフェを飲みたければ、スターバックスでハーフポンド(約230グラム)のイタリアンローストを1000円前後で購入するのが一番早道だ」
と書いたサイトがある。
 オレの選択は間違っていなかったのだ。

 だが、自宅ではキャラメルマキアートカプチーノも作れない。普通にコーヒーを入れてみると、普段スーパーで買うものよりはおいしいが、飲み比べないとわからないレベルである。値段はほぼ倍だから、今後も買うかどうかは微妙だ。

 ・・・このつぶやきは、どこへ行こうとしているのだろう・・・

 コーヒーを飲むようにはなった。だが、楽しみかというとそれほどでもなく、おいしいかというとやはりそれほどでもない。
 しかも、コーヒー以外のソフトドリンク、特に清涼飲料水系では、楽しみになるようなものは皆無だ。ビールをおいしく飲める人は、その幸せを噛みしめるべきである。

 これを書きながら飲んでいるのは牛乳だ。以前は結構飲んでいたが、カロリーが高そうなので控えている。

 ヨーロッパで飲んだ葡萄ジュースはおいしかったが(アルコール抜きのワインのような味わいだった)、日本では滅多に飲めないし、高い。

 飲料会社は、酒やビールの10分の1の熱意でもいいからソフトドリンクに注いでくれないだろうか。日本人の10分の1は酒が飲めないはずなので、それなりの潜在マーケットはあると思うのだが。