■電気ジャーポット

 この20年以上というもの、家に「電気ジャーポット」がなかった。お湯が必要なときは、その都度やかんで沸かしていたのである。

 これはたぶん、日本の家庭としては電子レンジがないのと同じぐらいには異常な状態だったのではないだろうか。今になってそう思う。

 買わなかった理由はただ一つ、電気代がかかりそうな気がする、という根拠のない倹約精神である。いや、電気代そのものが問題なのではなく、「電気を浪費してる感」というか、「環境に優しくなさそう感」というか、いずれにしても(たぶん)たいして意味のない理由であった。

 家電メーカも、そういうタイプの人がそれなりにいることを察したのだろう、電気ジャーポットを魔法瓶(懐かしい響きだ)化して、電気代の安さを強調した製品を売り出し始めた。
 といっても、そんなことも碌に知らなかったのだ。先日購入したオーブントースターのカタログに一緒に載っていたために、長年の軛から解放されて電気ジャーポット購入となったわけだ。(いろんな商品をごっちゃにカタログに載せるというのはこういう効果があるんですね・・・)

 カタログを信じるならば、1日当たりの保温電気代はなんと1円。総電気代にしても20円もかからない。その都度やかんに水を入れてガスで沸かすよりも、もしかすると安いかもしれない。それより何より、やはり手間がぜんぜん違う。

 近年、あちこちで「健康のために水分を取りましょう」といった呼びかけを目にする。冬の間はせいぜい暖かいお茶でも飲んで、健康になろうと思う(笑)
 それが結局環境にも優しいはずだ。