◆感情のスイッチ

 望遠鏡・双眼鏡の類が家に7つある(と思う)。

 さるウェブページによると、10個を越えると病気の入り口なのだそうで、まだしばらくは健康な状態が続きそうだ。

 だが、久しぶりに探鳥会に出て、ヒトの持ってる器材を見ていると、ひさびさに「レンズもの症候群」にかかってしまった。ただし、今回は軽そうだ。
 たぶん買わないと思うが、気になり出すと興味が出るもので、ネットをあちこち彷徨っては、望遠鏡や双眼鏡の情報を集めてしまった。

 レンズものへの興味を失っているうちに(いや、使うのはけっこう使っています、いろんな製品が出ている。待っているときはなかなか新製品が発売されないものなのだが。

 探鳥会の際に、やたら口径の大きい立派な望遠鏡を持っていらっしゃる方がいた。どう見ても、ニコンのフィールドスコープだ。だが、私の知識では、こんな機種は存在しない。思いあまって持ち主にお聞きすると、なんと82ミリである。

 わお、欲しいかも。

 でも、口径が大きすぎてバランスが悪く見え、デザイン的に納得できない気もした。たぶん、見慣れればあれでいいんだろうけど。
 「こんなのが発売されたんですか!?」とうかがうと、
 「もう1年以上になりますよ」と、きょとんとなさった感じのお返事をいただいた。
 そうなのだ。
 ある程度興味を持って新製品を追いかけていると、1年前というのは大昔という感じがする。1年前に発売されたパソコンで、今も現役で発売中のものがあるだろうか?

 デジカメを除くと、レンズものは売れないので商品サイクルが長い。とはいえ、1年前に発売された製品に驚いているようでは、望遠鏡や双眼鏡を語る資格がない(そんなものなくてもいいんだけど)

 ともあれ、ニコンの双眼鏡、HGシリーズが新ラインナップになっているのにはちょっとクラクラ来た。鳴り物入りで登場したグレードだが、これまで、最上級機種たる42ミリの評判が今ひとつ芳しくなかったのだ。
 そのせいもあって、この前に「双眼鏡症候群」にかかったときには、HGの20ミリを購入した。こいつは小さくて軽く、それでいて質感も使い勝手も抜群で、重宝している。今でもいい買い物だったと思う。
 今度こそ、32ミリも42ミリもよくなったに違いない。なにせ、ニコンの新フラッグシップの2代目なのだ。威信をかけてあらゆるネガをつぶしたと信じたい。

 どうせなら42ミリだよなあ・・・。だとすると15万円。
 82ミリのフィールドスコープも、ボディだけで15万円。

 買えばたぶん一生使えるだろうから、決して高い買い物ではないんだけど、やっぱり買わないだろうなあ・・・ だからオレは病気になれないんだよなあ・・・

 それでも、たまにこうやって感情のスイッチが入るのはおもしろい。俄然、その世界にのめりこんでしまう。

 なんだかちょっと、恋に似ている。長続きしないところも・・・