◆見られる側

 ある空港で開かれた航空ショーに、「見られる側」として参加させていただいた。

 もちろん、先日の航空祭で見たようなアクロバット飛行はできないし、ジェット機ですらない。だがそれでも、飛行機だというだけでいくらかは興味をもってくださる方もいるわけで、ありがたいことだと思う。

 空港に着陸して、エプロン(駐機場)までタクシー(地上走行)していく。そこには柵が巡らされ、向こう側には鈴なりの人々。なんと、こちらに向かって手を振ってくださる。横を通る間、こちらも手を振り返す。短い時間だと思うのだが、何しろ経験のない出来事だ。えんえんと手を振っているように感じる。非常に照れくさい。疲れない手の振り方をすると、ちょうど皇室の人たちと同じ仕草になる。お互い大変ですね(笑)

 いったん降りて軽く食事し、その空港と近くの別の空港とでフォーメーションによるデモフライト。地上からは相変わらず手を振ってくださるのが見える。こんな小さくて遅い飛行機に、恐縮です、はい。

 いや、もちろん、難しいフライトは、一流の元プロパイロットの方にお願いした。最初の着陸の時は、友人が操縦していた。私は帰投するときに操縦桿を握ったのだが、そのときはもう、航空ショーはお開きで、こちらに手を振ってくださる方はいなかった(と思う)。結局、「見られる側」だったのは、ヨコで荷物になっていたときだけだ・・・
 しかしそれでも、誰からも相手にされなくてメゲていた飛行機乗りとしては、最高といってもいい一日だった。

 みなさま、ありがとうございました。Good Day.