◆灯台、もと明るかりき

 イマドキのことなので、人並みには環境問題に気を遣っているつもりだ。しかしなにしろ、日常的にクルマには乗るわ、たまに飛行機は飛ばすわで、とても胸をはれる状況ではない。通勤をできるだけ自転車や徒歩にするなどして、中途半端な良心の呵責をなだめるのがせいぜいだ。

 それはそれとして、節電にもそれなりに気を遣っている。リモコンで電源を落とすだけではなく、できるかぎりメインスイッチを切るようにしているし、電子レンジやオーブン、洗濯機などは、その都度コンセントを引っこ抜く。手間も含めたコストを考えれば、もしかするとそうしない方が経済的なのかもしれないが、「環境」にコンシャスであることの儀式のような側面もある。

 ところが、今ごろになって大変なことがわかった(大げさだな・・・)。階段と廊下の電灯(どのスイッチでも一斉に点灯する)に仕込まれた電球の数が、計10個もあることがわかったのだ。別スイッチの玄関を入れると、13個になる。今まで数年間も気づかなかった。ぜんぶあわせると、なんと660ワット。電子レンジをつけているようなものだ。これには驚いた。

 実は、数年前に今の家に引っ越してきてすぐ、風呂場が明るすぎるのに驚き、二つあった電灯のうち、一つの電球をすぐに外してしまっている。なのに、階段や廊下は、明るいなあとは思っていたが、明るすぎるとまでは思わなかったのか、何となくそのままになっていた。
 階段も廊下も、純粋に通過するだけなのだから本が読めるような明るさはもちろん必要ない。そこで、階段も玄関も廊下も、電球を1/3に間引いた。かつ、60ワットの電球を使用していた階段の二つの器具を40ワットにした。これで、総合計が200ワットと、1/3以下になった。明るさも必要十分だ。もちろん、変更のためのコストはゼロ。

 階段や廊下なので、そう長い間電灯をつけっぱなしにすることはない。節約できる電気代は微々たるものだろう。だが、何の不便も生じず、これほど簡単に節電できるとは、まさに「灯台もと暗し」であった。いや、今まで、電灯の下が明るすぎたのだ。