★日本人がいない(前編)

 今回の旅のテーマは3つ。その1は、20年前に行き残した超メジャーな場所を押さえておくこと。その2は、フランス西部田舎巡り。その3は、ピレネー(+アンドラ公国

 20年前には、凱旋門にもノートルダムにもエッフェル塔にも登らなかったエッフェル塔には行きすらしなかったら、現地で知り合った日本人に「オマエはひねくれすぎている」といって、無理矢理連れて行かれた)。青春時代(笑)のことで、いささか世を拗ねていたのと、長旅のせいで名所旧跡に飽きていたのとが理由である。
 ロワール川沿いの城巡りにも、モンサンミッシェルにも行かなかった。旅行前には「外すまい」と決めていたところである。これは、寂しくなってしまって、早く日本に帰りたかったことによる。いや、フィックスの航空券だから、行かなくても早く帰れるわけではないのだが、パリにとどまっていた方が日本に近いような気がしていたのだ。わざわざ出かける気力もなかった。そのせいで、パリには10日近くいたような記憶がある。もっとも、ホテルで昼前まで寝るような生活だった。

 旅の最後がパリだったので、ヨーロッパの街に飽きていたわたしには、衝撃というほどのものはなかった。でも、当時の日記には、カルーゼル広場に立ったときの感想として「旅の最初がパリだったなら、ここに立ちつくしていただろう」と書いてある。いまでも、「初めての海外」にパリを選ばなかったことを少しだけ後悔している。『地球の歩き方』のせいだ(笑)

 今回は、空港から直接モンサンミッシェルに向かったし、ロワールの城にもいくつか行ったし、パリでは凱旋門にも登った。でも、残念なことに(というべきか)、それ以外の場所で日本人(のみならずアジア人全般)に会うことはほぼ皆無だった。