■「ヨーロッパでは」

 椿さんのリクエストにお答えして、言わずもがなのことを書きます。お許しください。

 知る限り、道路でのマナーの良さは、速度無制限のアウトバーンで有名なドイツがやはり一番だろうか。でも、オーストリアだってイギリスだってスイスだってフランスだって・・・イタリアですら、日本と比べればマナーはいいと思う。ドイツを例にとろう。
 高速道路を走るトラックは、一番外側の車線を適度な車間を空けて列車のように整然と流れていく。乗用車は、その車線、ないしは真ん中の車線を走り、内側の追い越し車線は常に空けてある。そこを走るのは、前の車を追い越すときだけだ。
 驚くのは、追い越しが終わったあと、すぐに真ん中の車線に戻ることである。見渡す限り前にも後ろにも車がいなくて、そのまま追い越し車線を走り続けても何の問題もないときにすら、戻る。そして、数秒後に、もう一台追い越すためにまた追い越し車線を使うこともザラだ。何のためにいったん戻ったの?
20040527 確かに、追い越しには非常に神経を使う。前を100km/h で走る車を追い越そうとバックミラーを確認すると、はるか後ろに車が一台いるだけだ。ゆるりと追い越しにかかって併走するころには、はるか彼方にいたはずの車がすぐ後ろまで迫っていることがある。たとえば220km/h で走っているとすると、120km/h で走っている私の車に、時速100キロで追いついてくる計算になるからだ。
 そういう、200km/h 以上で追い越し車線を驀進していく車はたまにいる(ポルシェとメルセデスが多い)。その種の車はさすがに内側の車線から動くことは少ない。それでも追い越しが終わると走行車線に戻ったりする車もいて、妙な感じがするほどだ。
 そういう車が、市街地にはいると、30km/h などという制限速度をおおむね守っている。50km/h のところも守る。霧などで視界が悪い時も、嘘のようにスピードを落とす。遅い車は道を譲る。
 ちなみに、郊外のごくふつうの道の制限速度は、片側1車線でも100km/h だ。アウトバーン(通行料無料!)推奨速度は130km/h。制限速度がある場合もある。
 片側2車線の立派な高速道路に、誰も守らない60km/h などというばかげた制限速度を設けたりするばかりか、ダントツで世界一高い通行料を取る日本がいやになる。逆に、狭い住宅地の路地を、けっこうな速度で走っていく愚かな運転者にも腹が立つ。

 ドイツでトラックが一番外側を走るのは、法律で決められているからだ(真ん中も走っていいのかな?)。日本と違うのは、守るべき合理的な法律があり、それに納得して多くの人が守っているところである。ばかげた法律を誰も守らない、ひいては、守るべき法律やマナーすらわからなくなってしまっている日本の交通事情は、真面目に考えるとほんとにイヤになってしまう。

(さて、やっぱり嫌味な愚痴だったでしょうか・・・)