■手軽に行けるアルプス的なところ

 このブログのプロフィールにも書いているとおり、アルプスが好きだ。
 本家のアルプスも日本アルプスも、スロバキアアルプス(っていうのかな、ヴィソケ・タトリ)もカナディアンロッキーも。
 行ったことはないが、サガルマータ/チョモランマ(エベレスト)だってデナリ(マッキンリー)だって好きだ。要は、アルプス的な山ということである。

 一方で、体力も気力もないので、とてもアルピニストにはなれない。自力で(と言えるかどうかわからないが)登った3000m超の山は、たぶん乗鞍岳(3026m)だけだと思う。あとは木曽駒ヶ岳(2956m)手前の乗越浄土(2850m)くらいか。

 しょせん、私の「好き」も情熱も、他と同様、その程度のことである。

 だからこそ、というべきか、その程度の人間でも登れる/歩けるアルプス的なところのリストが欲しい。
 そう言いながら、今まで本気で調べたことはないのだが、少なくとも私の感度の悪いアンテナには引っかかってこなかった。『日本百名山』とかそういう本はベストセラーなのに、『あなたも行けるアルプス』的な本は聞いたことがない。まあ、あんまり簡単に行かれて遭難されたりしても困るんだろうけれど、この際自分が知っている範囲をまとめてみることにした。

 今回の信州旅行でかなり残念だったのは、その「行けるアルプス」に行け(か)なかったことだ。

 バイク乗り用の雑誌の特別増大号に『絶景ロード100』というのがあって、そこに乗っていた「黒菱林道」というのに行ったのだが、行ってみると、その終点からリフトを2つ乗り継げば、往復3時間で八方池を往復してアルプス気分を味わえたのである。
 実際に行ったときには、リフトは途中で雲の中へ消えていたし、時刻も夕方だったので諦めたのだが、次の日の天気予報がよければ、その辺にもう1泊して登ってみたかった。またいずれ行くつもりでいる。

 バイク雑誌だから仕方ないとは言え、車道のことしか書いていないのにはがっかりした。「終点からリフトを乗り継げば、往復3時間のアルプストレッキングも楽しめる」とでも書いてあれば、間違いなく主要な目的地になっていただろう。
 書いていること以上の情報を求めようとしなかった私が悪いのだが、求めたくなるような記述は、たった30字ほどで書けるのだ。そのための紙幅は十分ある。

 さて、前置きが長くなった。私が知っている「初心者のあなたも行けるアルプス的なところ」のリストを以下の《続き》に記す。具体的な情報はご自身で収集願いたい。
 場所が場所なので、シーズンは概ね6月下旬から10月中旬くらいまでだ(もっと短いかもしれない)。(木曽)駒ヶ岳に登ったのは11月初めの連休だったが、いくら遅くてもその辺で終了してしまうのでご注意を。

 また、言うまでもなく、下界とは気温がぜんぜん違うし天気も変わりやすく風も強いことがある。雪が残っていることも多いし降ることすらあるし、滑落や遭難の危険だってないわけではない。2000mを超えると高山病の可能性も出てくる。
 登山届が必要な場合は必ず提出し、十分な情報収集と装備の上、自己責任で気をつけて。

 抜けていたら順次補っていきますが、他にあれば是非教えてください!

・北海道の黒岳1984m)
 層雲峡からロープウェイで上がり、その後歩きます。
 このリストの中では「しんどい」ほうかもしれませんが、大したことはありません。急登後に開ける風景には感動します。黒岳頂上まで行く必要もありません。

・北海道の旭岳(2291m)
 黒岳とともに大雪山系です。黒岳は北から、旭岳は南からアクセスします。ロープウェイで上がります。天候に恵まれなかったため私自身は登山していません。

・秋田/岩手県境の八幡平(はちまんたい:1614m)
 車で行ける道路(八幡平アスピーテライン)から手軽なハイキング and/or 散策コースがあります。道路自体は5月の連休でも3回くらい行っています。ふつうの格好でもちょっとした雪原散歩くらいなら楽しめました。
 頂上下の有料駐車場から岩手県側に300mも走らないうちに、ものすごく広い路肩があり無料で駐車できます。

・秋田/山形県境の鳥海山(2236m)
 ここは登山したことはないのですが、鳥海ブルーラインを使って1100mくらいまで車で登れ、山岳気分が味わえます。

福島県新潟県群馬県境の尾瀬ヶ原(1400mくらい)
 どこを「尾瀬」というのかが難しいのですが、「初心者のあなたも行ける」観点から言うと、高層湿原の尾瀬ヶ原です。鳩待峠から尾瀬ヶ原へ「降りる」まではちょっとだけハイキングですが、降りてしまえば完全に平坦な木道です。ここは、いろいろ調べても結局どうすればいいのかがなかなかわかりにくいので、リンク先をご参照ください。

・栃木/群馬県境の(日光)白根山(2578m)
 ロープウェイで上がり、山頂まで往復5時間です。私は登山はせずに比較的平坦な散策路を歩きました。

・群馬/長野県境の草津白根山(2160m)と横手山(2307m)
 日本の国道最高標高地点の近くにあり、それを挟んで両山の直線距離は3km足らず。草津白根山は「湯釜」で有名です。いずれも車ですぐ近くまで行け、横手山にはリフトで登れます。私は子どものころ、冬の横手山で遭難しそうになったことがあります。

・長野県の栂池自然園(1900mくらい)
 ゴンドラリフトとロープウェイを乗り継いで上がります。アルプスの景色を楽しみながら高層湿原の平坦な散策路を楽しめます。

・長野県の白馬大雪渓(1600〜2200mくらい)
 標高1200m超の猿倉まで車で行き、そこに駐車して林道を歩いて行きます。一般車は通行止ですが、車の通れるような道なので歩行は楽です(ただし情緒はありません)。1時間半も歩けば、白馬大雪渓の下部に到着します。雪渓の上を歩くにはアイゼンが必要ですが、スニーカーでも横断くらいはできました。雪渓の下部と上部で600mくらいの標高差があるそうです。下の方から景色を見るだけで十分楽しめました。

・長野県の八方池(2060m)
 今回の旅行で行きそびれたところです。黒菱まで車で上がり、リフトを2本乗り継げば、あとは3時間で八方池を往復できます。絶景のようです。リフトの係の人と実際に降りてきた人の話を総合すると、上りは尾根筋を(滑落注意)下りは木道を通るのが正解のようです。

・長野/岐阜県境の乗鞍岳(3026m)
 以前は畳平(2702m:日本の車道で最高標高)まで車で行けたのですが、現在は一般車通行止でシャトルバスの利用になります。そこから標高差300mを往復(3時間ほど)します。初めて行ったときには雷鳥がいました。

・長野/岐阜県境の西穂高岳独標(2701m)
 西穂高岳(2909m)自体はアルピニストの世界なので、「初心者のあなたも行ける」観点からは独標までです。
 新穂高ロープウェイを乗り継いで、西穂高口(2156m)へ。その辺(千石園地)を散策してもアルプスの絶景が楽しめます。そこから樹林帯を抜けて西穂山荘(2367m)近くの稜線に出ると、眼下に上高地の絶景が広がります。西穂山荘までは2時間かかりません。そこで引き返してもいいのですが、独標まではさらに1時間半くらいです。西穂山荘に1泊して次の日に独標を目指すといいかもしれません。

・長野県の(木曽)駒ヶ岳(2956m)
 一般車通行止の車道をシャトルバスで進み、ロープウェイで千畳敷カールへ。カールというのは、かつて氷河が削り出した圏谷(けんこく)のことです。ロープウェイ終点のカフェが2612m。雄大なカールを適当に散策してもいいのですが、ちょっとした急登を1時間も登れば乗越浄土(2850m)、そこから緩やかになり、さらに1時間で駒ヶ岳山頂です。私はシーズン最終の11月初めにスニーカーで乗越浄土まで登り、アルピニストから苦い視線を投げつけられ続けましたが、小学校低学年の女の子が運動靴で、母親と一緒に私と同じペースで登っていました。むしろ下りに注意です。

富山県立山雄山:3003m)
 有名な立山黒部アルペンルートの途中の室堂平(2450m)までケーブルカーやバスで行き、そこから登山。私は2度行きましたが、いずれも室堂周辺の散策だけでした。雄山山頂までは往復4時間程度のようです。登頂が目的でなければ散策しても素晴らしいところですし、室堂山展望台の往復なら2時間かかりません。