■渋滞嫌い

 渋滞が嫌いだ。

 「好きな人なんていない」とあなたは言うかもしれない。
 しかし、ふつうの人とは嫌いのレベルが違うと思う。行列なんかも大嫌いで、かなり徹底して避けている。結局は並んだほうがよかったんじゃないかというようなことがあっても、並ばなかったことに後悔はない。時間を無駄にすることよりも、並ぶこと自体が嫌いなのだ。

 5年前に初めて東北に出かけるまで、ゴールデンウィークに遠出した記憶はない。どこへ行っても混んでいるのが必定の時期に出かけるなんて、ありえないと思っていた。

 だが、その後、去年も今年も東北へ行った。大きな理由の一つは渋滞に遭わないことだ。
 今回も、まったく遭遇しなかった。

 もっとも混んでいたところでも、車の行列が進まないなどということはぜんぜんなく、天下御免の観光地(例えば八幡平)の駐車場などでも、寂しくない程度のにぎわいにとどまっていた。
 無料のキャンプ場など、「テントを張るところがなかったらどうしよう」と思っていたのに、むしろがらがらで、2箇所目などは私を含めて2人しかおらず、ゼロでもおかしくなかったくらいだった。

 これが信州だと、たぶんぜんぜん違う。何しろ、関東圏と中京圏の双方からの便が非常にいいのだ。

 東北はやはり、21世紀になっても「道の奥」である。それがしかし、おそらくは未来の展望を描きにくいことに結びついているのは、やるせない。

 まあ、日本全体としてもそうなのかもしれないけれど、少なくとも他の地方は、近年、あれほど広域にわたる大災害を経験していない。