★夫婦同姓強制は合憲(最高裁判決)

 結婚した男女に同姓を強制する民法の規定の違憲性が争われた裁判で、最高裁大法廷は合憲とする判決を言い渡した。

 意外だった。

 大法廷が開かれることが決まってからは、違憲方向の判決が出るだろうという雰囲気が充満していたから、よけいにそう感じるのかもしれない。

 まあ、違憲だと言ってしまえば、慰謝料を求める裁判が万単位で起こされたりするとか、そういうことを心配したのかなとも思う。
 しかし、何しろ天下の最高裁である。違憲だが慰謝料は認めないとかいう判例を作ってしまえばそれですむだろうし(後記:現に、同時に下された「女性再婚禁止100日超違憲判決」ではそうしている)、お得意の「違憲状態」とかいう逃げも使える(のかな?)。

 どうも、立法の方に投げたようなことになっているようだが、法制審議会が最初に選択的夫婦別姓の答申を出してからほとんど20年近く、まったく進展してないのだ。政府は法案すら出していないし、議員が出しても審議されたことすらない(はずだ)。
 だからこその提訴だったわけで、機能していない国会に投げ返されても、少なくとも当面は埒があかない。

 夫婦別姓が認められると、「夫婦の絆が弱まる」「家族の一体感が損なわれる」「子どもの姓はどうするのか」「子どもに悪影響がある」などと言う人たちがいるが、世界中で夫婦同姓を強制している国はただ一つ、日本だけだということは、日本政府自身が認めて答弁を閣議決定している(2015.9)。
 また、その日本においてさえ、国際結婚の場合は夫婦別姓が可能だが、国際結婚は近年、結婚全体の5%前後で推移しているのである。

 選択的夫婦別姓にすら反対する人々は、日本以外のすべての国が異常だとでもいうのだろうか。
 あるいは、それこそが日本のみの独自性だと誇るのだろうか。

 盛んに「グローバル化」を唱えている人の中に、ゴリゴリの同姓論者が多いのも不思議だ。
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 最高裁判所判事15名のうち、10名が合憲、5名が違憲と判断したという。
 その10名全員が男性で、3名しかいない女性判事は全員違憲判断だったと聞くと(NHKラジオ)、何だか男として申し訳ないような気分になってしまう。