◆また出費

 イタリアから帰った翌日だったと思う。夜中、やっともろもろに一段落ついてほっとしていたら、先に床に就いていた家人が暗い顔をしてリビングに上がってきた。イヤな予感がする。

 「また水が漏れてるみたい・・・」

 寝室の天井からぽたぽたと水が滴っているというのだ。うちの場合(どこでもそうかな?)、これはかなり深刻な事態である。
 ちょっと変わった設計にしたので、1階の寝室の上に台所とか洗面所とかの水場がある。その配管が天井裏を縦横に走っているのだ。あるハウスメーカーは、「2階にお風呂だけは勘弁してください」と言ったが、うちは結局風呂場も2階に作ってしまった。

 すでに経験があるのでわかるのだが、こうなるともう、寝室の天井を剥がして水回りを修理し、また張り直すしかない。前は畳も電灯も入れ替えた。下手をすると数十万円仕事になる。
 とりあえず水道の元栓を締めたのだが、そうするともう、元栓を触って汚れた!手も洗えない。浴びようと思っていたシャワーも無理。歯は磨いておいて良かった。トイレはどうなる??

 次の日ももちろん二人とも仕事で、修理の人を呼ぶことすらできない。水道のない生活を1日でも送る大変さは、やってみた者でないとわからない。

 でもとにかく朝一番に業者に電話して仕事に出かける。「担当者がいないのでそのうち折り返す」みたいな対応で不安になる。できれば明日にでも来てほしいと言ったのだがどうなることやら・・・

 と思っていると、すごく気の利いた業者で、驚くほど迅速に動いて修理してくれた。

 それはまあよかったのだが、原因を探るために天井を壊したし、いずれにせよ水浸しで、張り替えなければならないことに変わりはない。
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 家のための出費ではないが、壊れているところすら直さない最低限の車検と1年分の任意保険で30万近い散財を余儀なくされたばかりである。最悪直さなくてもいい息子の歯列矯正にも数十万かかる予定。

 だれが見るわけでもないし、天井にはこのままダンボールでも貼っておこうかと思ったが、さすがに本気ではない。いったいいくらかかるんだろう? それに、もう設備も古いし、またすぐ漏れたりしたら・・・