■「ようやく入籍」の謎、解明?

 『探偵!ナイトスクープ』を見ていると、依頼者である夫婦が、「同棲しないで結婚したので・・・」と発言していて、ちょっと違和感を持った。
 その言い方が、「本来なら同棲してから結婚するのがふつうなのに、その過程を飛ばして「いきなり」結婚したので」という感じだったのだ。

 少なくとも私の世代は、結婚前に同棲するというのはまったくふつうではなかった。結婚とは関係なく、恋人同士が同棲するというのはあったのかもしれないが、それだって友人知人には一人もいなかった(と思う。知り合いが少ないせいもあるけれど)。
 もっとずっと?上の団塊の世代になると、『神田川』(南こうせつかぐや姫)に象徴される同棲が多かったようだが、それも結婚前の同棲というよりは、単なる恋人同士の同棲だろう。

 一緒に見ていた息子に、「結婚を前提として、その前に同棲するという感覚はふつうなのか」と聞いてみると、「そうちゃうん?」と、平然としている。
 もちろん、息子は「彼女いない歴=年齢」なのに、である。

 そんな感覚をどこで覚えたのかと聞いてみると、要するに「自然に」としか言いようがないらしい。
 テレビなんかもほとんど見ず、世間にも疎い息子だが、なぜかそういう行動様式というか文化は「自然に」身についてしまうのである(もしかするとネットなのかな?)。それが世代の流行というものなんだろう。

 なるほど、今は結婚前に同棲するのはふつうなのだ。そして、夫婦同然に暮らしているから、特に結婚式とか入籍とかは別にどうでもよくて延び延びになり、何かのきっかけで、芸能人でもないのに「ようやく入籍しました」というようなことになるのだろう。

 そういえば、昨年末ごろにも同僚が「結婚」(「入籍」とは言わなかった)したのだが、「もうけっこう長い間一緒に住んでるんですよ」みたいなことを言っていた。

 変わっていないようでいて、世の中は知らないうちに変化しているのである。「ようやく入籍」の謎は解明されたと思っていいかもしれない。