●心配無用

 ワーキングデーが4日しかない週なのに、出席すべき会議が6つ。しかも、あっちへ移動、こっちへ戻る・・・とか。

 それが毎週のように、というと大袈裟だけど、最近はほんと、隔週ぐらいでそういう感じである。

 いったい、自分の仕事は何なのかと、相変わらずの疑問と愚痴がこぼれる日々。

 ・・・というところへ、新しく着任した方が挨拶に来られた。

 「お目にかかれる機会がなかったのでご挨拶が遅くなりまして・・・」
 「いえいえご丁寧にどうも」
 つまらぬ会議で飛び回ってましたから、とはもちろん言わない。

 だがその瞬間、精神がふっと向こうの立場と入れ替わり、その後ただちにその答を知っている「別の」自分に戻るという妙な経験をした。

 新任の方はもちろん、いささか緊張し、ここがどんな職場かと不安を持っている。目の前のこの人(私だ)も、もしかしたら気むずかしくて扱いにくい人物かもしれない。

 いや、あなた、不安になる必要はありませんよ。心配は無用です。
 ここには気むずかしい奴やら嫌な奴やらはいない。だれがどんな失敗をしても、頭ごなしに叱りつけたり罵ったりする人もいない(はずだ)。派閥抗争もなければ出世争いもない(あ、後者は人によるか)。だれかとだれかが犬猿の仲ということも(おそらく)ない。
 そして、だれもがだれに対しても丁寧に接している(んじゃないだろうか)。

 それだけでも、なんと恵まれた職場であることだろう。だからほら、その緊張を解いても大丈夫ですよ。

 新任から挨拶を受け「いえいえご丁寧に」と言っているほんの一瞬のうちに、これら想念が去来した。
 もちろん、相手には何も言わない。

 挨拶と幾ばくかの用が終わって机に戻ると、相変わらずのメール処理の山。さっきはどこまで書きかけてたっけ・・・

 でもまあ、結局のところ、自分で自分にストレスをかけ過ぎてるんだよなあ。客観的な状況は、けっしてそれほど悪くはないと思う。確かに無駄な仕事は多いけれど。