●ETC車載器の取り付け

 息子が免許を取った次の日に、練習を兼ねて家人の車で兵庫県の実家に行った。緊張でガチガチの息子には、1時間ほどの運転でも休憩が必要だったので、途中、パーキングエリアに寄った。

 私が運転すると、全行程でも1時間とちょっとぐらいなので、途中で休憩するということはかつてなかった。

 そのPAで、阪神高速道路公団が「ETC車載器購入キャンペーン」というのをやっているのを知った。
 本体とセットアップに送料まで込みで3千円だという。
 後で kakaku.com を見ると、最安値でも本体だけで7千円だ。セットアップと送料で3千円ほどかかるはずだから、計1万円になる。

 3千円はいかにも安い。これも何かの縁と、帰宅してから申し込んだ。
 高速の料金所で自動発行された通行券を取るのにドアを開けなければならないような運転しかできない息子を目の当たりにしたばかりだったし、以前から機会があれば家人の車にもETCをつけたいと思っていたところだったのだ。

 まず申込書が送られてきて、車検証のコピーを添えて返送するなどちょっと面倒だったし、車載器の到着まで3週間もかかるということだったのだが、思いの外早く到着した。

 さっそくどこかで着けてもらおうと思っていたのだが、車を運転していくのが嫌な息子の「自分でつけられへんの?」という言葉に「できるわけないやろ。お前やってみぃ」とか言いながら、やってみてもいいかなという気が急にした。

 家人が帰ってくる前にネットでいろいろ調べたが、かなり難物のようである。

 「フロントパネルを外し」とかさらっと書いてあるのだが、いったいどうやって外すのだ(結局、これが一番大変で、一時は諦めかけた)。

 「電源は、オーディオのバックアップ電源と ACC ラインからそれぞれ分岐して取ります」って、具体的にどのラインをどうするんだよ。オーディオにはラインが12本もつながってるのだ。

 先達たちの軌跡はネットに上がっているのだが、人によって違う色のラインにつないでいたりする。
 結局、ALPINE のサイトから該当車種の配線図をダウンロードした。パネルの外し方も書いてあるのだが、うちのとは違うのでその部分は役に立たなかった。

 念のため、学研の「おとなの科学」の電子ブロックを使ってテスターを用意した。使うの自体10年ぶりぐらいだろうし、実用的に使うのはおそらく初めてである。
 ALPINE の配線図に従って確かめると、なるほど、バックアップ電源のラインはイグニッションオフでも12ボルト、ACC 電源のラインはキーをひねると12ボルトになる。大したものだ。

 雲をつかむような話だった「ラインからの分岐」も、車載器本体に同梱されているキットを使えば、ワンタッチでできてしまう。いつもそうとは限らないが、やはり案ずるより産むが易しである。

 もっとも悩み、時間を使ったのは、フロントパネルを外す工程(結局、力任せにバカッと外すしかないようだ。もっとも、それで爪を2本破損したので、何かコツのようなものがあるのだと思う)と、1本余ったボルトが一体どこについていたのかを探すことだった(もともとどこにもついていない、車載器同梱の部品であることが後に判明した・・・)。

 最初、オートバックスに電話して聞くと、作業時間は40分ぐらいで5250円という話だったので、うまくいけば1時間ぐらいで終わるかと思っていたのだが、結局は2時間近くかかってしまった。

 夜に入ろうとする暗い車庫の中で懐中電灯の光を頼りに初めての作業をやっていたことを思うと、まあ、そんなものかという気もする。外は雨が降っていた。
 ただ、パネル外しと余分なボルトさえなければ、それほど大した作業ではなかったかもしれない(あ、オーディオからいったんコネクタを抜くのにも難儀した)。

 電源のラインをつないでおそるおそるキーをひねると「ETCカードが挿入されていません」との声。「やったー」、とりあえず機能している。
 次に、カードを挿入すると、アンテナの異常を告げる音声・・・

 一瞬あせったが、単にアンテナのラインを差し込んでいなかっただけだ。

 一時は、途中で放り出して続きをオートバックスとかでやってもらおうかとも思ったくらいだったので、ちゃんと動作したのにはちょっと感動する。

 それにしても、勉強にもなるし楽しみでもあるし、息子の教育も兼ねて・・・とは思っていたものの、5250円を稼ぐことの大変さを思い知った。

 こういうことに慣れていらっしゃる方なら何ということはないんだろうけれど、車の内装を自分で剥がすのも初めてというような、私などがやるべき種類の作業ではない。

 安物の軽自動車なのだが、一皮めくると裏は配線だらけでびっくりした。こんなのがよく故障もせずに15年近く!も動いてるよなあと感心する。