●タグ付きの松葉ガニ または・・・

 松葉ガニ(山陰地方で水揚げされるズワイガニ)を2匹買い、家でカニすきにして食べた。

 本物の松葉ガニだと証明されたものを食べたのは、もしかすると初めてかもしれない。買ったのは間違いなく初めてだ。
 水揚げした船の名前や連絡先電話番号まで記したタグ(贋物じゃないだろうな・・・)がついている。兵庫県の浜坂で揚がった正真正銘の松葉ガニで、脚も揃っていた。

 いつもは千円ぐらいのロシア産(まれに北海道産)のズワイガニを買う。生きて動いていたりするものもあるが、そうでなくてもオスの生のカニなら十分においしく、冷凍のカニは一切買わなくなった。
 だが、買うと言っても年に1〜2回のことである。
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 なのに松葉ガニ・・・ なぜそんなものを買うという大胆な行動に出たのか。

 わが家の食卓に上る食材としては、べらぼうに高価だったが、松葉ガニとしてはもっとも安い部類ではないかと思った。
 そもそも、デパートにでも行かなければ、本物の松葉ガニが売られているのを目にすることすらない。そして、デパートには年1回行くか行かないかである。
 今買わなければ、このまま一生買わないかもしれない・・・というのは少し大袈裟かもしれないが、何十年も買っていないのだから、あり得る話だ。

 もとより臨時収入などはないし、別に何の記念日でもない。だが、記念日にだってこれまで買ったことはないのだ。
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 安売りの魚屋なので、2匹まるごとひょいとビニール袋に入れてくれるだけである。

 Youtubeで捌き方を検索し、見よう見まねで解体する。たぶん2度目だ。前回(たぶんロシア産)より大きいのは確かである。

 苦労して食べた高価なカニは、もちろん絶品であった。しかし、生きて動いているロシア産のカニの数倍の価値があるかと言えば、ないような気がする。せいぜい2倍がいいところではないだろうか。

 次回からはやっぱり、千円のロシア産を買うことになるだろう。それで十分おいしいのがわかったことが今回の収穫かもしれない。

 これで松葉ガニの食べおさめ? しみったれた人生である(笑)

 後記:ロシア政府によると、ロシア産の「カニの5分の1《中略》が密漁だ」という(『朝日新聞』2012.11.26朝刊)。うーむ・・・