◆ソルト

 たくさんの映画が作られ、それを次々と見ることができる時代。

 映画はどんどん「進化」し、見る者はどんどんすれっからしになっていく。

 もはや、「ノンストップアクション」や「息をのむサスペンス」、「まさかのどんでん返し」や「衝撃のラストシーン」は望むべくもない。
 そういうものを一生懸命作っても、したり顔の素人に上から目線で指摘されておしまいである。それを避けようと無理矢理一ひねり二ひねりしても映画の質は向上しないし、その努力もまた揶揄される。

 そして、あろうことか、そういう偉そうな批評を素人が世界に発信できるシステムまでできてしまった。
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 「肉体派アクション女優」アンジェリーナ・ジョリー主演の「サスペンス スパイ アクション」ともなれば、その大活躍も筋書きもおおかたはわかる。それでいてなお、傑作と呼ばれなければならないハードルの高さはいかばかりか。

 しかし、この作品はそのハードルを越えたと思う。これまでの彼女の主演作の中では一番だと言っていいのではないか。

 もちろんさまざまな新機軸はあるのだろうが、基本的にはおきまりの「ノンストップアクション」や「衝撃のラストシーン」・・・・・だ。全編もちろん、荒唐無稽。
 最後の方に1対1で格闘させるなど、水戸黄門の印籠も真っ青になりそうなワンパターンでもある。

 その映画がなぜ傑作なのか、すれっからしにすら届かない私にはうまく説明できない。

 こういう映画が嫌いでない方には、ぜひ鑑賞するようお勧めするのみである。

 「ソルト2」が作られて失敗しそうなのは気になるけど・・・

(Salt, 2010 U.S.A.)