★カワウも風に乗る

 天気予報では風が強いということだった。

 実際、朝起きると、ときおり気紛れに吹く突風で、庭の木が家の壁を叩くほどだった。

 だが、予報では一日曇り、雨は降らないという。

 風の強い日は鳥が飛びたがらない。が、少し迷って出かけることにした。

 高速道では横風も強く、ときおり砂粒が当たって雨のように響く。鳥見の場所に着くと、木々は台風の時のように揺れていた。
 しかも、思いの外、寒い・・・

 さらに、予報は外れ、昼食時には土砂降り。

 それでも、鳥見自体は悪くなかった。珍しくもないツバメだが、長い間水面すれすれ、地上すれすれを乱舞してくれた。
 オオルリの姿と囀り、キビタキの囀り、カワセミの姿と鳴き声・・・

 昼食も屋根の下で幸いだった。昼食時間を少し延ばすと雨も小止みになり、それほど悩まされずにすんだし。

 帰り、高速道路に乗る前、まったく羽ばたかずに風に乗って飛んでいく鳥を見た。
 突風に煽られたりはしながらも、前に向かって進んでいく特殊な凧のような様子で、貧弱な翼に風をはらみながらみごとに飛んでいる。

 せわしなく羽を動かさなければ飛べないはずのカワウだ。

 帰りの高速でもシャワーのような雨が断続的に降りそそいだ。天気予報は進歩してるんだろうか?

 ツバメは空気を自在に操り、カワウすら風に乗る。

 飛行機なら不快に煽られるばかり、車も進路を乱されるばかりである。