■偉いぞ、福田首相

 官房長官時代の福田現首相は大嫌いだった。

 特に、自身の年金未納問題を隠すために必死で誤魔化そうとするに及んで、その感情は決定的になった。
 そして結局、その年金問題が直接のきっかけになって官房長官を辞任した(と記憶している)。

 その福田氏がいくらも経たずに首相として復帰するんだから、何のために引責辞任したのかという感覚を持っていた。まあ、政界にはよくあることだ。

 しかしながら、首相になってからの福田氏はそんなに悪くはないと思う。

 確かにぱっとしないが、過去の内閣、とりわけ小泉内閣の残した負の遺産を引き受け、何とか清算しようと努力しているように見える。
 まあ、本人もその官房長官だったので、適役なのかもしれないけれど。

 かつて「いつも人を見下してつまらぬ皮肉を連発し、射竦めるような視線と威圧的反問で記者を黙らせようとする、エラソーな福田官房長官」と書いたが、首相になってからの氏からはそういう態度がほぼ消えたのではないだろうか。
 ただ、相変わらず、世間知らずのKY発言が多くて大丈夫かな?という気はする。

 それはともかく。

 アメリカや中国やロシアの締結・批准が絶望的な中、クラスター爆弾の禁止条約(オスロ・プロセス)へ向けて動く国際社会に歩調を合わせ、日本がこの条約を受け入れる方向になったという。

 受け入れに消極的だった政府の態度が突如180度転換したようだが、その背後には福田首相の決断があったと報道されている。

 もちろん、今回の条約はそれほど素晴らしいものではない。肝心の米中露の参加が見込めないことも、最新型の高性能爆弾はOKなどというのも悲しいことだ。

 だが、現在世界各地で悲惨な現実を引き起こしている不発弾の問題などが少しでも軽減されるのなら、意味がないわけではない。できることから始めるしかないのであれば、意義ある一歩にはなろう。

 対人地雷廃棄の裏には、故小渕首相の決断があったという。クラスター爆弾福田首相

 なんだかんだ言っても首相というのはやはり力を発揮できるんだなあ・・・

 ふだん、政治家や政府や官僚機構には不満や文句や愚痴が出るばかりである。だが、敬意や賛意を表すべきことには、きちんとそうすることも必要ではないかと思い、珍しくこんなエントリを作ってしまった。

 私ごときに「偉いぞ」って褒められる首相も可哀想だけれど・・・