◆バスは動かず

 昨夕は結局、駅からの路線バスが運休していたからといって、息子は歩いて帰ってきた。

 玄関で出迎え、「はよ上がり」というと、「上がられへん」という。足がぐしょぐしょに濡れているのだ。雑巾(元はおむつ)を2つ取りに戻る。
 しきりに寒い寒いと言っている。

 すぐに熱い湯を浴びたいというので、風呂場へ向かわせるが、今度は服が脱げないという。「手がかじかんで動かへん」。
 ボタンを外してやるのなんて何年ぶりだろう。そういえば、なかなかボタンが留められるようにならなかったなあ。

 そもそも、外を歩くことなど想定していない服装で出かけたのだ。出がけに「膝かけにもなるから、コートぐらい着て行きなさい」と着せておいてよかった。

 うちは辺鄙なところにあるので、駅から歩くと小一時間かかる。しかも昨日はべちゃべちゃの雪道だ。

 こんなこともあろうかと、いつでも連絡しなさいと、電話番号を3つも書いて渡した上に、私はずっと自宅待機していたのだ(映画見ながら・・・)。

 なのに寒い雪道を1時間も歩いてくるなんて、どう考えてもアホである。

 息子の性格からして、「親に迷惑をかける」ことを遠慮したのはわかるが、そもそも朝も送っていってやったし、こういう時に迎えに行くのはむしろ喜びであり醍醐味なのである。そこのところをわかれよ。

 「運動になると思って」などというのだが、何もこんな日に運動しなくてもよい。「滑って」転んだりしたらどうするんだ。受験の帰りだというのに。

 確かに、ちょっとした試練の日、そして思い出の日にはなっただろう。まあ大したことじゃないけれど。