■また白馬(その2)

 サービスエリアの駐車場の片隅で、6時半ごろ目を覚ます。そんな時間に既にやっているSAの食堂でラーメンの朝食。

 松本インターで降りて、白馬方面へ向かう。春に一夜を明かした道の駅白馬に立ち寄る。

 地図で見ると、栂池高原の上の方に、「栂池自然園」という高層湿原があるようだ。標高約2000m。やや季節外れだが、高層湿原好きとしては行かねばなるまい。幸い、湿原近くまで道もついている。

 ところが・・・

 道は一般車通行止め。上がるにはゴンドラとロープウェイを乗り継いで3000円もかかる。自然園の入園料も別に300円。

 遠い昔、はるばる北海道の旭岳の麓まで夫婦で行って、ロープウェイの値段と天候とを考えてすごすごと引き下がってきたのを思い出す(2006年夏に息子も連れて行ったときは、同じような天気だったが、さすがに登った)。

 うん、3300円にめげて登らない手はない。昔ほど貧乏ではないのだ。1人だし。3人いて1万円じゃなくてよかった ^^;

 ゴンドラに乗り込んでから、「しまった、折りたたみ自転車を持って上がるんだった!」と後悔した。
 そうすれば、運賃は片道になり、帰りは長大なダウンヒルを楽しむことができる。

 だが、今日も雲行きが怪しい。雨が降ったらとんでもないことになる、と無理矢理納得する。

 上に着いてから、商売関係の人たちの車がけっこうあるのにげんなりした。それなりに広い駐車場もある。これなら、少なくとも平日は、一般車を上がらせてもいいだろう。あるいは安いバスを往復させるとか。
 環境保護というよりは、ゴンドラとロープウェイで儲けるために通行止めにしているのだ。通行止めにするぐらいなら、道なんかつくらなければいい。

 高層湿原一周は、涼しくてよかった。涼しい風が出てくる風穴前でコンビニおにぎりの昼食。
 が、ほぼ雲と同じ高さにいることになってほとんど展望がきかない。ほんとは白馬連峰がみごとらしいんだけど。
 それに、帰りはかなりの雨になり、ガスがかかって視界もきかなくなってしまった。

 そんな中、何度も聞こえるさえずり。レンジャー?に聞いてもロープウェイの人に聞いてもまったく知らないのだが、ちょっと鳥に詳しい人なら誰でもわかるらしい。メボソムシクイである。
 もう一つ、関西では見ることのできない、胸から上がゴマフアザラシのような模様をしたヒタキ。

 図鑑を端からぜんぶめくっても、該当する鳥はいない。

 これも、わかる人に聞けば、ルリビタキの若鳥だということで、なあんだ、である。
 成長してこの模様がなくなってから、冬鳥として関西にやってくるのだ。鳥見の初級者としては、「こんな鳥、見たことがない!」ということになってしまう。

 いずれにせよ、小さな収穫であった。

 下るころにはまた雨もやみ、「よし、今度は自転車を積んでくるぞ」と決意する。でも、自転車さえも通行止めとか言わないだろうな。

 また懐かしの「道の駅白馬」に戻り、斜め向かいの「素泊まり2500円」に泊まることにする。

 食堂もやっているようだが、「準備中」の看板。人の気配もない。鍵はかかっていなかったので、声をかけつつおそるおそる中にはいる。宿泊施設なら「準備中」もないもんである。

 フロントの呼び鈴を鳴らしても返事はない。ふと見ると、呼び鈴のすぐ先に、「ここに電話してくれ」というA4ぐらいの紙。なるほど、客が少ないときはそうなっているのか。
 電話をすると何と、「勝手に2階へ上がって好きなところを使ってください」とのこと。

 頭の中が???になるが、2階へ上がって納得した。狭い体育館のような空間に、2段ベッドがずらっと並んでいるのだ。2500円という破格の値段の謎もこれで解決する。
 他に客はいなさそうだし、ゆっくり横になれるなら、こんなところでも十分だ。

 白馬の麓の別荘地?で夕食。カーナビで探したお目当てのレストランは休みで、近くの山小屋風イタリアンでペスカトーレを食べる。

 宿に戻ると、人がいた。気持ちのいい応対である。今度から信州に来たときの定宿にしようかな。でも、今日みたいにすごく空いているとき限定か。
 結局、50人ほども泊まれるのに、その夜、泊まったのは私1人だった。