●いびつな生活

 ↓の会議やパーティなどのため、久しぶりにきちんとしたシャツを着てネクタイを締めていこうかなと思った。

 が、ネクタイはともかく、きちんとしたシャツというのがない。もともと安物である上に、何となく薄汚れて擦り切れている感じがする。
 少々みすぼらしいのはまあいいのだが、「少々」を超えてしまっているかもしれない。

 ほとんど服を買わない。

 「きちんとしたシャツ」など、滅多に着ないせいもあって20年以上前のものが現役である。先日のゴールデンウィークの葬儀の際に出してきた礼服用のワイシャツなど、どう見ても黄ばんでいるとしか思えなかった。

 さすがに、(すべてを含めた)シャツの数はそうでもないかもしれないが、ズボンの数よりは双眼鏡の数の方が多いような気がする。これはちょっといくら何でもヘンかもしれない。

 ___

 というわけで、少なくとも1年以上は前から、何かある度に「着る服がない」と嘆いている私を見かねた家人が、ちょうどセールをやってるからシャツを買いに行こうと言い出した。めんどくさいが仕方がない。実際はそれほどでもないだろうが、主観的には10年ぶりぐらいに真剣に?服を買いに行った。

 双眼鏡に使うお金はあっても、服に使うお金はない。いびつな金銭感覚だ。
 ワイシャツといえば、3千円以下、1980円ならまあ申し分ない。

 そんな価格で気に入るようなシャツがあるはずがない。だから買う気がしない。でも必要だから仕方なく買う。パッとしない。やはりお金がもったいない。買い物に行くのが億劫になる・・・ 悪循環である。

 値段さえ気にしなければ、けっこう気に入る服もないわけではない。だが、たまに通りがかりに「あ、いいな」と思うような服の値札を見ると、ケタの違う数字が書いてあったりするのが普通である。

 以前から薄々感づいてはいたのだが、どうもまともなシャツの値段というのは1万5千円〜2万円ぐらいのようなのだ。
 だが、その価格は、私の金銭感覚からいえば、「ありえない」レベルである。

 しかしたとえば、双眼鏡を買うのに1万円以下でというような人がいれば、悪いことはいわないから少なくとも3万円ぐらいは出した方がいいとアドバイスするだろうし、たまには家族3人で食べるおいしい寿司だって1万5千円ぐらいはかかってしまう。
 だいたい、月に1〜2度入れるガソリン代すら、1回8千円とかになってしまっているのだ。

 そう思っても、とにかく着る物にお金を使いたくないという気持ちはなかなか変わらない。耐久消費財じゃないし(20年以上「耐久」してるんだけど)。

 結局、1万円未満と4千円とであるが、セール価格にだまされてシャツを買う。その他、下着代わりのTシャツなどはユニクロで。やはり後者が似合いのような気がする。

 ___

 それにしても、セールじゃないときにああいうシャツを買う人がいるんだろうか。仮にセールで買うとしても、いつどこでやっているとか、どうやって知るんだろう?