◆風邪と掃除と日常

 朝起きると、いつもより体が軽い。目覚めもすっきりしていて、滅多にないぐらい快調な気がする。クラッシュしたパソコンが再起動してサクサク動き始めたような感じだ。

 が、しかし、それはあくまで相対的な話で、微熱ながらやはり熱は残っているのであった。鼻の調子も相変わらずひどい。

 いつもはこれより元気なのかと思っても狐につままれたような感じである。鼻以外は、ふだんより調子がいい気すらする。

 でもやはり、それは昨日の辛さを脳と体がはっきりと記憶していた間だけの話。朝の支度が終わるころには、もう病人の自覚が出てきた。

 夜になるともちろん、昨日のしんどさをまざまざとは思い出せない。ぐずぐずとしんどい現実だけが残る。今、咳も出た。

 ともかく、もう昨日のようなことはない。夕食後、忙しくて長い間放ってあった家の掃除をした。前から気になっていたのだ。
 風呂にも入った。いつもより気持ちよかった気がする。

 それにしても、たまにこの程度の風邪でも引くと、なんてことのない日常のありがたみが少しわかったりしてそれはそれで悪くはない。
 あくまで相対的な話だし、それに、ありがたみだってすぐに忘れてしまうんだけれど。