◆もう一つの欠点

 キヤノンから発売された EOS Kiss digital X の素人から見た唯一の欠点は手振れ補正がついていないことだと書いた。
 これには注釈が必要だ。
 キヤノンの一眼レフはレンズ側で手振れ補正を行う仕様となっている。だから、手振れ補正がついていないというのは、自分の手持ちのレンズについていないというだけのことである。キヤノンの名誉のために付言しておかなければならない。

 といった舌の根も乾かぬうちにこういうのも何だが、キヤノンのEFレンズ群は、まだまだ手振れ補正がついていない方が多い。また、ついていると高い。もうちょっとどうにかなるにはまだ数年ぐらいかかるのだろうか。

 一方で、ISOを1600に上げて撮ることができるし、レンズそのものが胸ポケットにはいるようなデジカメとは桁違いに明るいので、けっこう早いシャッターを切ることができる。店頭で試したところ、35ミリ換算300ミリの望遠で店内のポスターを狙っても、1/250とかのシャッターが切れ、表示が間違っているのかと思ったほどだ。
20061001snail 今日のように曇天〜雨降りだと、真っ昼間の森の中で木を撮ってもシャッター速度が1/8になってしまう今のデジカメとはえらい違いである。お蔭で、持ちにくい超薄型ボディでスローシャッターを切る技術はすごくうまくなった気がするが・・・

 話を Kiss digital X に戻そう。店頭で実機を覗くと、もう一つ欠点があることがわかった。ファインダー倍率が0.8しかないためか、像が小さいのである。まあいいや、液晶画面が2.5インチと大きくなったことだし、そっちで見ることもできるだろう、と思ったら甘かった。液晶画面に表示できるのは「すでに撮った」画像だけで、「これから撮ろうとする」画像は見られないのだ。つまり、フィルム一眼レフ同様、常にファインダーを覗いてシャッターを押すことになる。

 そんなことすら知らない素人なのが自分でもおかしかった。考えてみれば、一眼レフである以上、ミラーで反射した画像をペンタプリズムを通して覗いている。そのミラーが跳ね上がらなければ(=シャッターを切らなければ)、CMOSに光は届かないのだ(厳密にいうと、ハーフミラーのようになっているからある程度の光が届き、それで測距や測光を行っているのだろうが)。つまり、液晶画面にこれから撮ろうとする画像は映せないのである。

 でも、液晶画面モード(ミラー跳ね上げ)とファインダーモードとをワンタッチで切り替えるとかはできそうな気もする。まあ、一眼レフを使うような人はそんなことはしないのかな・・・

 ともあれ、常にファインダーを覗いて写真を撮るしかないとすると、あまり上等なファインダーとは言えそうにない。うーん、悩ましいなあ。この欠点さえなければ速攻で買いそうな気もするのだが・・・