■「国立公園」

 世界で最初の国立公園だというイエローストーン。紆余曲折があったとはいえ、現在でもその名に恥じない場所なのには感心させられた。

 四国の半分ぐらいの広さだというのだが、そこにある道路は、基本的には、園内をぐるりと回る8の字型(というよりは「日」の字型か)の周回路と、そこから園外へと続く数本のみだ。

 想像してみて欲しい。ここに、日本の小さな県が2つある。その県を囲む県境が道路になっている。県内には道路は1本もない。たとえばそんな状態がイエローストーンなのだ。

 園内にはホテルやレストランが集まった地域が数か所あり、Village と呼ばれている。だが、そこを一歩出ると、食事をすることもガソリンを入れることも水を買うこともできない。店というものが一切ないのだ。屋台だの物売りだのも、まったく(い)ない。もちろん、自動販売機などどこにもない。

 世界有数の観光地であり、毎年何百万人という観光客を受け入れながら、「Keep Wildlife Wild」(野生動植物を野生のままに)という標語が単なるお題目に終わっていないのには感嘆させられる(もっとも、ぼくらみたいな観光客なんて、入れないのが一番なのは確かなんだけれど)。

 「まあ、何といってもアメリカは広いからねぇ」だけではすまない何かが、彼の地の「国立公園」には確かにある。