■「Yナンバーに気をつけろ」

 自動車のナンバープレートに平仮名がついているのはご存じだと思います。大雑把に言って、「あ」から「こ」は事業用、「さ」から「ろ」は自家用、「わ」はレンタカー、というふうに分類されています。
 ところが、その場所がアルファベットになっていることがあります。外交官ナンバーとか自衛隊ナンバーとかそういうのではなく、見た目はごく普通の自家用ナンバーなのに、平仮名部分がアルファベットなのです。
 たとえば「Y」。これは、駐留米軍の軍人・軍属が私用で使う車(つまり、ふつうの「マイカー」ですね)に使われています。

 単なる自家用車なのに、どうして特別扱いする必要があるのかわかりませんが、以前は車検が必要なかったとか、車庫証明がいらなかったとか、実質的な特別扱いがあったためのようです。
 車庫証明は、法的には必要になったのですが、沖縄ではいまだに車庫証明を取っていないらしく、国が違法行為を放置している状態になっているそうです。

 沖縄では「Yナンバーに気をつけろ」というのが合い言葉になっています。事故を起こされても、相手が基地に逃げ込んだり警察の捜査に協力しなかったりして、泣き寝入りせざるを得なくなることも多いからです。
 また、どの程度あたっているのかわかりませんが、Yナンバーはとんでもない運転をすることでも顰蹙を買っています。片側2車線道路の左側レーンからのUターンなど、私も目撃しました。基地の中は右側通行、外は左側通行というのも、運転者にとってはややこしいと思います。

 いびつな日米関係や、歪んだ世界の姿を目の当たりにできるのが沖縄です。珊瑚の海を堪能した後でもいいから、米軍基地や悲劇の戦跡を訪れ、過去と現在と未来に思いを致したいものです。