■ガヴァルニの圏谷(前編)

 旅の目的の一つ、ピレネーのハイライト、ガヴァルニの圏谷(カール)。「けんこく」で変換できないから辞書を調べてしまったが、やはり「けんこく」。氷河が削り取ってすり鉢状になった山頂近くの窪地のことだ。壮観。日本だと、先日ロープウェイが止まった木曽駒ヶ岳が有名だと思う。

 ガヴァルニのカールはヨーロッパ最大である。そこにはヨーロッパ最高落差(422m)の滝がある。ヨーロッパ最大の巡礼地、なんとホテルの数がパリの次に多いというルールドも近くにある。その横には、これまたフランス最大の鍾乳洞もある。
 ここへ行かずにどこへ行けというのか、というぐらいのものである。

 ルールドはしかし、ちょうどマリア昇天祭の前日ということもあってシリアスな人たちがけっこう集まっており、宗教心のない観光客が行くと、ちょっと気がひけた。まあ、土産物屋に埋め尽くされた通りの風景は、思いっきり観光地のそれではあったのだが。
 鍾乳洞はすごかった。アメリカにあるカールスバッドが世界最大だと聞いたことがあるのだが、あれより大きいのではないか。ここに限らず、フランス南西部には至る所に鍾乳洞があり、それぞれの規模も驚くほど巨大だ。なにしろ、洞窟の中を移動するのに船だの電車だのを使う。最初は何かの間違いかと思った。
 クロマニョン人が壁画を残している洞窟も、ラスコーを始めとしてたくさんある。ガイドブックを読むまで、クロマニョン人の洞窟壁画というのは、スペインのアルタミラとフランスのラスコーにしかないのかと思っていた。アホですね。

 紙数(って何だよ)が尽きた。ガヴァルニについては後編で。