★チケット購入

 どうして飛行機の時だけ「チケット」っていうんだろう。あ、コンサートとかもかな。でも、縁がないので、自分にとってはほとんど飛行機だけだ。

 ヨーロッパが好きだ。このごろはいろんな意味で恥ずかしくて公言するのがはばかられるが(せめて東南アジアなら格好がつくんだけど。マダガスカルなんかだともっといい)、まあ仕方がない。趣味の旅行先にまで、ポリティカルコレクトネスを持ち込まなくても許してもらえるだろう(だめかな)。東南アジアに行くと、「何もヨーロッパやアメリカにばかり行ってるわけじゃないんですよ」って人に言い訳できる気がしてほっとする。ちらっとでもそんなことを考えながら旅するのも失礼だ。
 まあいいや。この件は簡単には言い尽くせないし、どうせ誤解される。とにかく、3年ぶりのヨーロッパ行きのチケットを確保した。

 海外旅行に行かない方ではない。むしろ大好きで、できるだけ頻繁に、かつ、長期間出かけたい。だが、マスコミにあふれる「今や誰もが気楽に出かける海外旅行」といった言い方にはうんざりする。ほんとうにそうなのだろうか。親戚中を見回してみても、気軽に海外旅行に出ている者など一人もいない。絶無である。両親世代の海外旅行はほとんどないし、兄弟・従兄弟従姉妹世代は新婚旅行で一生に一回という連中ばかりだ(ほんとだ!、漠然とそう思っていたが、今、逐一思い出してみても、ぼくを除いたすべての!兄弟と従兄弟従姉妹連中が新婚旅行で海外に行っている。かつ、その前にも後にも、一度も行っていない!)。それが、決して貧しくはない庶民の、ふつうの姿だろうと思う。

 そういった庶民一族に属しているからだろうか、海外に出るとなると、いまでも、なんだか大時代な決断や思い切りが必要だ。もういいかげん、もっと気楽になってもいいのに、とも思うのだが、年に多くても2回といった回数では、慣れるということがない。でも、「慣れ」だけの問題ではないような気もする。

 話がどんどん横道にそれていく。とにかく、もう3年も前から、今年はヨーロッパに出かけたいと考えていた。でもそれが、何だか夢のような、雲をつかむような話で、ぜんぜん具体化しない。旅行ガイドを買ってみたりはするものの、「今年は行けるのだ」という現実感がなく、身を入れて読む気もしない。日程の確保に不安がつきまとうという点も、現実感の喪失を加速する。

 今年はお盆からしか休めそうにない。そんな一番高い時期のチケットなど、買ったことがないぞ。しかも、下手をすれば、チケットそのものが手に入らない可能性もある。なにせ、「誰もが気楽に海外へ出かける」ピークがお盆なのだ。

 機が熟す、というのだろうか、なぜか突然思い立って、チケットの確保に動いた。やはり高い。旅行会社は、「そろそろ埋まってくるころです」とかいう。ほんとかよ。こんなに早くチケット買うのは初めてだぜ。ともあれ、結局、WebでJALのチケットを直接買った。その方が安いし、座席の指定までできる(いい席は選べないけど)。何のための「格安航空券」やら旅行代理店やら・・・ そういえば、3年前にイギリスに行ったときも、結局同じだった。もはや、チケットは航空会社から買うのが常識なのだろうか。たしかに、倒産などのリスクも少ない。旅行は、数少ない「前払いが鉄則」の買い物だ。このご時世、旅行会社に大金を払うのは避けたい気もする。

 やっと始動した。やっと現実感が出てきた。あとはレンタカーを確保すればOKだ。初日と最後だけは、宿もおさえておこう。

 さて、どこへでかけようか。