★ことばとは何か

 待望久しい田中克彦氏の新著。発売されたのも知らなかったし、最近は新書の棚にも興味がなかったのだが、出会ってしまった。やはり縁があったのだと思いたい。奥付を見ると、発売日から数日を経ずして買ったことになる。
 脳腫瘍の摘出後、内分泌機能の異常という日々があり、「気落ちして半分泣き顔になって」いるような状態に、著者はいたのだという。あの田中克彦が、だ。
 ともあれ、同窓会で50年ぶり!に会った内分泌学会の重鎮の見立てから、復調なったという。ここにもすばらしい偶然がある。
 おかげで、また新しい本が読める。残り滓のような知的好奇心が、微かに疼いている。

『ことばとは何か −−言語学という冒険』田中克彦(ちくま新書)