◆ちょっと見直した Windows

 巷では、Windows が勝手に 10 に更新したがっていて、「それを避ける方法がわからない」「気がつけば 10 になってしまっている」「お蔭で不具合が出た・・・」と不評のようだ。

 個人的に一番ウケたのは、10 への更新を「今すぐ」と「今夜」のどちらか選べというダイアログが出てくるという話。
 「いや、そもそも 10 にしたくないんだよ!」という怨嗟の声がネットに溢れている。
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 私がパソコンを使い始めたのは、NEC の N88-Basic の時代である。その後 MS-DOS になり、ちょうど Windows 95 が出るころに、仕事の関係で Mac を使わざるをえなくなった。

 以来今まで、メインマシンは常に Mac になっている。

 その仕事による年収のおそらく半分以上は自腹で買った Mac 代に消えたが、素晴らしいきっかけを与えていただいたと今でも感謝している。

 もしあの仕事を紹介していただかなければ、これまでずっと、Windows 95, 98, 2000, XP, Vista, 7, 8 と悪夢に悩まされ続けてきたかもしれないことを思うと、ちょうど Windows が普及し始めたタイミングで MS-DOS から Mac に移行したのは、紛れもない僥倖だった。

 いや、食わず嫌いではない。上に挙げた Windows OS を私はすべて経験している。Windows でしかできないこともいくつかあるので、7までは Windows マシンもそれほど途切れることなく使ってきた。
 その上で、Mac だっていろいろアレだったけれど、Windows にはいくら何でもアレなことが多すぎると思うのである。

 まあ、Mac 使いが Windows の悪口を言うと嫌われるので、これくらいにしておこう。
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 父親がパソコンを新しくしたいというので、仕方なく Windows 10 のパソコンを購入した。

 今日まで使っていたのは XP で、私から見れば父親の用途くらいならまだ十分に使えると思うのだが、まあ確かにもう10年以上前の機械だし、「XPはもうサポートしてないからね、何があっても知らんからね」みたいなポップアップが気になって仕方がないというので、適当なのを見繕った。

 これを機会に Mac を・・・と思わないでもなかったが、80代の老人にまったく別のパソコンをあてがっても混乱するだけだろうという気もしたし、Windows 10 のノートパソコンなら、そこそこ使えそうなのがたった4万円!で買えるので、結局それにすることにした。

 それで、セットアップなどのために Windows 10 と付き合うことになったのだが、それなりによくできていて感心した。
 「なんかまた、いろいろ面倒なことが起こるんだろうなあ」という予感はみごとに外れ、まったくといっていいほど何ごとも起こらず、拍子抜けするくらいであった。

 驚いたのは、10年もののプリンタを繫いだのに、ドライバのインストールすら必要なく、すぐに正しく認識されて印刷できたこと。
 無線LANはパスワードを入れるだけ、有線LANもケーブルを繫ぐだけ。

 「ああ、これこそがキカイのあるべき姿だよなあ」と、この30年以上の来し方を振り返ってちょっとセンチメンタルになってしまう。

 他社のアプリケーションを入れると台なしになるけれど、デスクトップや画面のデザインもかなり洗練されている。
 設定画面もわかりやすくすっきりとしていて、ユーザフレンドリーに見える。

 「え、まさかいまだに !?」のギザギザ文字も解消し、見やすいフォントになっている。

 まあ、一皮むくと、Windows 95 から変わっていないようなデザインで訳のわからない設定項目がずらりと並ぶのは相変わらずなのだが、たぶん、ライトユーザが使う分には、あれに付き合う必要はほとんどないのだろう。

 (それにしても、そこそこパソコンやネットに詳しいつもりの私が見ても何のことかわからないような設定項目が死ぬほどてんこ盛りなのは、いったい何のためなんだろう?)
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 いやー、しかし、この素晴らしいパソコンが4万円・・・

 だからいつまでも不況が続くのかとは思うものの、とうとうここまで来たかと感慨深い。