◆発想の転換
発売を待っている新型コンパクトカメラが発表された。
発売は4月だが、買うとすると8年ぶりのカメラ購入となる。
何度もモデルチェンジが繰り返されている機種なので、今回も「正常進化」すると思っていたら、びっくりするような仕様変更があった。
GPSによる位置情報機能がなくなっている!のである。
今どきそんなバカな・・・ これは明白なスペックダウンじゃないか、と最初は思った。
ところが、ウェブサイトで製品情報を見ていると、確かにカメラから位置情報機能はなくなっているが、スマートフォンと常時通信して同等(以上?)の機能を実現していることがわかった。
つまり、GPSに関してはスマートフォンにおんぶ抱っこなのだ。
これには驚いた。
スマホを持っていない人はどうするのかとか、常時通信なんかしててカメラもスマホも電池はもつのかとか気にはなるけれど、買う気のなくなるスペックダウンじゃなかったことに、とりあえずほっとする。
8年前に買ったカメラには、GPS機能がついていない。その後多くのカメラに搭載されるようになったが、それから8年経つと、一周回ってまたGPSがついていないのである。
10年ふた昔、といったところか。
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さて、もしあなたがカメラの開発者だったとして、そのカメラが持つべき機能を他の道具に代行させてしまうなんていう発想が生まれるだろうか。
まあ、カメラの開発なんて考えたこともないので、日夜そんなことばかり考えている人には案外簡単に思いつくアイディアなのかもしれない。
だが、今カメラが持っているどの機能を他の何かにどうやって代行させるか・・・などとしばし考えてみても、やはり一つも思いつかない。
あるいは、今カメラにないこんな機能が搭載されれば・・・というのも同様である。
今回のカメラは、撮影した写真のサムネイル画像(といっても「1920×1080ピクセル相当」で、私がこのブログなんかにアップしている写真よりはるかに高画質)を、撮影したそばからすべてメーカーの用意したクラウド上に自動アップロードする(容量無制限)という機能まで持っている。
もちろん、アップロードはスマホ任せだ。
そんなことを思いついて実現してしまうなんて・・・
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日ごろから、「発想の転換」とか「パラダイムシフト」とか、あるいは「既存の枠組みを疑え」とか「前提を問い直せ」とかいろいろ言ったり聞いたりするけれど、実際には難しいものだ。
私たちの発想は、なかなか伝統的・因襲的な制約から自由にはなれない。
そしてまた、仮に自由になれたとしても、それが結果としてよいかどうかもわからない。
さらにまた、発想だけ自由でも仕方がないし、自分だけ自由でもストレスがたまるばかりだ・・・
これだけ自由に発想し、実現してしまう個人も組織も大したものだと思う。