◆厄日

 日本中?が連日のノーベル賞騒ぎで湧いているときに、ほんとにどうでもいいことで恐縮だが、個人的にはノーベル賞なんかよりよほど気になることがあったので記しておく。

 私の車が当て逃げされた。買ってからまだ1年も経っていないのに。

 どこで、かもわからないし、大した傷でもないのだが、右のフェンダーと前のドアのパネルが凹み、相手の車の白い塗料が着き、黒く擦れたような痕もあった。

 つらつら考えると、日曜日か月曜日に駐車して車を離れている間に、右隣に駐めようとした車の左後ろ(あるいは右前)が私の車に当たったのだろうと推察された。今日火曜日にも2箇所に駐めたが、いずれも右から車が当たってくる可能性のない位置だった。
 たぶん、月曜日の方だろうと思う。

 仮に月曜日のその時だとすると、それから3回乗り降りしても気づかなかった。4回目に乗ってから降りたときになって、初めて当てられているのに気づいた。
 ディーラーの人は、「まだ右だから気づいたんですよ。これが左だったらなかなか気づきませんよ」と言っていた。
 まあ、大した損傷じゃないからだと思えば少しは慰められる。

 こういうことがあるとすごく嫌なので、駐車する区画選びや区画内の駐車位置には常に細心の注意を払っている。

 遠くに駐めて少々歩くのは厭わないので、とにかくガラガラのところに駐める。
 あちこちぶつけているような車の近くには駐めないし、狭いスペースも避ける。
 駐めにくい場所に後から別の車が入ろうとしないように、そういう所には自分が駐め、後の車が楽に駐められるようにする。
 柱や壁があればぎりぎりまで寄せ、他の車のためのスペースを広く取る。
 白線なんかには必ず平行に駐め、斜めにすることはない。
 内輪差で当てられることのないよう、近くを車が通る角は避ける。

 その他、とにかく当てられないように種々注意を払い、与えられた条件の中で最良の区画を選び、その区画の最良の位置に駐める。
 そういう苦心を30年以上続けているが、それでも、ドアパンチを含めて当てられたことが数回ある。
 一度などは、駐車中の私の車の下に横倒しになったバイクが滑り込んできたことがあった(あとでわかった)。もちろん、きちんと駐車場に駐めているのに、である。
 そんなもの、さすがに防ぎようがない。

 今回も、左と後ろをぎりぎり柱と柵に寄せ、下手くそで無神経なドライバーに当てられないように十分気を遣っていた。

 それなのに・・・

 パネル2枚にわたっているので、きちんと修理すれば30万近くかかるだろう。もちろん保険は効くが、免責の5万円は払わなければならないし、さらに次回から保険料も上がってしまう。
 たいした損傷ではないので、保険を使わず最小限の修理をしてもらうことにした。
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 当て逃げに気づく前には気分が塞がるようなメールがいくつか来ており、凹みを見つけた後で職場のプリンタが故障した。

 なんとなく、嫌な感じのする日である。

 でもまあ、たとえばハンガリーの国境で足留めされている難民なんかのことを思えば、ほんとにもう、まったく大したことではない。

 そういう考え方は好きではないが、そうでも考えないと気が滅入ってしまう。