■やさしい嘘と贈り物

 老いらくの恋を描いた純愛ロマンかと思いきや・・・

 冒頭からさまざまに爆笑させられる。主人公が出てくるだけでおかしい。

 家人と「これはコメディじゃないはずだ」「いや、どう見てもコメディじゃないの」「これ、映画館で見たら笑えるかなあ」「笑えるでしょ。どうして?」「いや、周りに遠慮して大声は出せないと思う」などと言いながら楽しむ。

 何しろ大まじめに作ってあるし、笑わせようという作為は感じられない。たいしたものだ。

 それとは別に・・・

 何かウラがあることは、邦題からわかってしまう。
 原題の Lovely Still だったら、「老いらくの恋を大まじめに純愛ロマンとして描くと、途轍もないコメディになるんだなあ」と思っただろう。

 しかしもちろん、映画全体としてはむしろシリアスな情愛の物語なのだった・・・

 この年齢のロマンスを見るのはかなりキツかったが、お薦めの映画ではあります。

(Lovely Still, 2009 U.S.A.)