◆空白を埋める
大阪に暮らして25年近くになるが、JR大阪駅の北側にはほとんど行ったことがない。
以前は皆無だったのだが、ヨドバシカメラができてから、店には数回行った。
でも、あのビルより北や西は未体験ゾーンである。
頭の中の地図も、該当部分は空白だ。
そう思って実際の地図を見ると、なんと、ほんとの地図も空白なのである。再開発待ちの、いわゆる「梅田北ヤード」(梅田貨物駅跡地)がひろびろと横たわっているからだ。
グループ展の会場となるスカイビルの近くまで、大阪駅前からどうやって行けばいいのかちょっと途方に暮れる。
最初見た地図では、ものすごく大回りして歩いていく以外に、道がないように見えたのだ。
みんないったい、どうやってスカイビルに行ってるんだろう、と思ってネットで調べてみると、梅田北ヤードの下を歩行者用の長いトンネルが貫いているのを知った。
ヨドバシカメラのビルの北側を西に進むと、そのトンネルを経てスカイビルのすぐ下に出る。なるほど、これなら大阪梅田から楽に歩ける。
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グループ展の準備に集まった皆さんは、楽しく素敵な方ばかりであった。
何しろ初めてのことで右も左もわからないのだが、まずは現展覧会写真の撤去作業。
みんなで共同作業をするうちに、初対面同士の硬さもほどよくほぐれ、いよいよ自分たちの展示作業にかかる。
与えられた面積を何のおもしろみもなく律儀に埋めるために用意した写真はどうやら多すぎたようで、分不相応な広いスペースを与えていただいた。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません・・・
さて、この空白をどう埋めよう?
仮止めの写真が落下して角がつぶれたり、貼付用のゴムを写真にくっつけて汚してしまったり、いろいろ失敗する。
しかし、先達の的確なお導きと助力のお蔭で、何とか「どうしようもない」という感じは免れた(と思う。ご覧になって、「いや、これはやっぱり、どうしようもないんじゃないか」と思われたら、それは私ひとりのせいであって、先達のせいではありません。すみません)。
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帰りは数人で例のトンネルを抜けて大阪梅田方面へ歩いた。
ヨーロッパの街角のみごとなスケッチを展示なさっていた方に、「このトンネルは昔からあるんですか」とお伺いすると、もうずっと前からあるというお返事であった。
ぜんぜん知らなかった。
北西から眺める大阪梅田は新鮮である。かの有名なスカイビルも初めて間近に見た。
こうして、頭の中の地図が塗り替えられ、空白が新しい認知で埋められる。
鳥の写真で埋められたギャラリーの壁と同じように、いくぶんいびつで見栄えのしない空白の埋め方だけれど。
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「この星に生まれて」には、わたしのようなずぶの素人からプロ級(というかほんとにプロかも)の方までのさまざまな作品が、写真を中心に展示されています。
会場の Cafe bilico gallery は、梅田からトンネルを抜ければすぐです。中津からならもっと近くです。ぜひお運びくださいますよう、お願い致します(入場はもちろん無料ですが、 会場がカフェ(食事もできます)のため、展示を見に来られるお客様は1品オーダ−をお願い致します。今日はキャラメルアイスコーヒーをおいしくいただきました)。