■消された記録

 先月末、京都へ行く用事があったので、一番遠い最寄り駅(うちの最寄り駅はたぶん3つあるが、どれも遠く、一番近い駅からはどこへ行くにも不便である)まで自転車で走った。

 そのとき、サイクルコンピュータの表示がすごく薄くなっていたので、たぶん電池を替えるべきなんだろうと思い、その日の夜だったか、幸い家に在庫があったので替えた。

 何気なく替えてしまったのだが、気がつくと完全に工場出荷状態に戻っている。もう一度自転車のタイヤの外周を入力しなければ動き出そうともしない。
 一番痛いのは、これまでの走行距離が消えてしまったことだ。メモも取っていなかった。

 最近のこういう機械は良くできていて、電池を替えたぐらいなら内部のメモリは保持される場合が多い。そういうのに慣れていたので、ほとんど意識すらしていなかったのである。

 まあ、この程度の小さな安物の機械では、不揮発メモリを仕込んでおけというのは少々酷かもしれない。でも、これまで走った数値がパーになってしまうのは残念である。もしメモでもあれば、その数値を入力することは可能なのかな?
 もう1台で走ったときの距離はどうせカウントされていないし、まあいいんだけど。
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 職場でスコールのような大雨をやり過ごし、暗くなったころに自転車で出る。

 ところが、50メートルも走らないうちにポツポツとし始め、少し走り続けるうちに本降りになってしまった。

 昨今の奇妙な雨のこと、今降り出したのではなく、さっきの雨がすぐ近くでまだ降り続けているのかとも考えた。
 職場のすぐ前の道には水たまりなんかなかったのに、少し走ると道路が水浸しなのだ。

 だが、雨宿りしていると、傘を持たずに犬の散歩に出たというご婦人と一緒になり、やはりそこでもほんの数分前には降っていなかったということを知る。

 少し小降りになった中を、諦めて自転車で帰宅。

 こんなこともあるけれど、真っ昼間に走っても木蔭なら涼しい季節になってきた。

 電池を替えてリセットされてしまったので、オドメーターはまだ20キロ。少しずつ距離を伸ばしていこうと思う。